『コタツがない家』食事シーンに込められた巧みな演出 吉岡秀隆と小林薫の見事な掛け合い

『コタツがない家』食事シーンの演出

 ドラマ『コタツがない家』(日本テレビ系)の公式サイトを初めて開いた時、筆者は「漫画原作なんだ」と思い込んだ。深堀万里江(小池栄子)をはじめ、悠作(吉岡秀隆)、順基(作間龍斗)、山神達男(小林薫)といった主要キャラを描いたイラストが載っていたからだ。

 しかし、本作は金子茂樹によるオリジナル脚本で、そのイラストは漫画家の関口かんこが描いたもの、さらに第2話で廃業寸前の漫画家である悠作が描くタッチを見て、全ての合点がいった。

 第2話のタイトルは「舅 VS 夫」。深堀家に達男が来てから5日が経った。ろくに仕事もしないで家でぐうたらしている悠作を達男は几帳面に監視し、メモに書き留めて万里江に報告。家にやってきた漫画編集者・土門幸平(北村一輝)には「可能性がないなら、早めに見切りをつけてやってくれませんでしょうか?」と投げかけるほどだ。

 土門と悠作はデビュー作からの腐れ縁。怒りや悲しみが生まれる環境こそ、創作意欲に繋がると考える土門は、悠作に「親父さんとの共同生活を漫画にするのはどうだ?」と提案する。その構図はまさに「舅 VS 夫」。土門の言う通り、あまり見たことのないシチュエーションだが、悠作は共同生活自体が早く終わってほしいと思っている。

 一方の達男は友人の投資話に乗っかり、詐欺に遭っていた。貯金もなくなり、万里江たちに黙って、建築現場のアルバイトの面接を受ける達男。互いにそのことを隠しながらも、薄々勘づいているのがポイントで、ゴングの音が鳴るのはやはり悠作と達男の口喧嘩から。悠作の本当は結婚したくなかったという一言に端を発し、地獄の手巻き寿司の夕ご飯がスタートする。

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