ホグワーツの先生たちは今……? 『ハリー・ポッター』シリーズで活躍した俳優のその後

 9月28日、『ハリー・ポッター』シリーズで2代目ダンブルドアを演じたマイケル・ガンボンが肺炎のため82歳でこの世を去ったというニュースが届いた。この訃報に世界中から悲しみの声が上がり、日本のファンも少なからず衝撃を受けている。ダニエル・ラドクリフをはじめ、『ハリー・ポッター』シリーズの共演者が次々と哀悼の意を表し、またフロリダ州オークランドにあるユニバーサル・アイランズ・オブ・アドベンチャー内のホグワーツ城では、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(2009年)で登場人物たちがダンブルドアを死を悼んだシーンにちなんで、ファンたちが杖を掲げる様子も見られた。

 『ハリー・ポッター』映画シリーズ完結から12年、残念ながらこの世を去った出演者はガンボンだけではない。2013年にはハリーのおじ、バーノン・ダーズリーを演じたリチャード・グリフィスが心臓手術後の合併症で他界。2016年には、シリーズでも人気の高いセブルス・スネイプ役のアラン・リックマンが、がんのためこの世を去った。また2022年には、ホグワーツの森番ルビウス・ハグリッドを演じたロビー・コルトレーンも逝去している。

 しかしもちろん、そのほか存命の俳優たちはシリーズ完結後も活躍をつづけている。今回は、元ホグワーツ教授役俳優たちの活躍を紹介していこう。

アカデミー賞でも注目されたムーディやロックハート

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』ブレンダン・グリーソン(Everett Collection/アフロ)

 シリーズ4作目『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(2005年)で「闇の魔術に対する防衛術」教授アラスター・“マッド・アイ”・ムーディーを演じたブレンダン・グリーソンは、2022年に『イニシェリン島の精霊』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたことが記憶に新しい。彼が演じたコルムは、友人だったパードリック(コリン・ファレル)に突然絶交を告げる。パードリックは彼の真意がわからず困惑するのだが、どんなに謝罪をしても理由を探ろうとしても、コルムは頑として彼を拒絶しつづける。グリーソンはコルムの揺るがない決心を骨太の演技で見せつけた。グリーソンはそのほかにも『パディントン2』(2017年)で刑務所一凶暴な囚人でありシェフでもあるナックルズを、凄みとチャーミングさを同居させた人物として演じたことも印象的だ。現在68歳の彼は、2024年にはホアキン・フェニックス主演の『ジョーカー』(2019年)続編、『Joker Folie à Deux(原題)』への出演も決まっている。

 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002年)に登場したギルデロイ・ロックハートを演じたのは、シェイクスピア俳優としても知られるケネス・ブラナー。現在62歳の彼は、俳優以外に映画監督としても活躍しており、ロックハートと違い、実力で築いたキャリアも華々しい。『ハリー・ポッター』出演後には、2011年にMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の『マイティ・ソー』、2015年には実写版『シンデレラ』の監督を務めた。俳優としては『ダンケルク』(2017年)、『TENET テネット』(2020年)、『オッペンハイマー』(2023年)など、クリストファー・ノーラン作品の常連として活躍している。また2021年に公開された自伝的作品『ベルファスト』は、アカデミー賞で作品賞や監督賞など計7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞するという目覚ましい活躍を見せた。さらに2017年の『オリエント急行殺人事件』にはじまる『名探偵ポワロ』シリーズでは、監督と主演を兼任し、続く2作目『ナイル殺人事件』(2022年)、3作目『ベネチアの亡霊』(2023年)と一定の評価を受けている。

幅広い作品で脚光を浴びるルーピンやアンブリッジ

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』イメルダ・スタウントン(Everett Collection/アフロ)

 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004年)で初登場したシリーズきっての人気キャラクター、リーマス・ルーピンを演じたデヴィッド・シューリスは、2017年の『ワンダーウーマン』では、予想を裏切る展開のなかで物語の鍵を握るパトリック・モーガン卿を演じている。また同年には、ユアン・マクレガーが一人二役を務めたテレビシリーズ『FARGO/ファーゴ』シーズン3に出演。犯罪組織のボスを演じた。どちらもルーピンのイメージが強い観客にとっては意外な役と言えるかもしれないが、どの作品でも、かつて『ネイキッド 快感に満ちた苦痛』(1993年)で、カンヌ国際映画祭男優賞をはじめとする多数の賞を受賞した彼の演技力が光る。

 ルーピンとは対象的に、観客のヘイトを一身に集めたドローレス・アンブリッジ役のイメルダ・スタウントンは主に舞台で活躍しており、映画では地味な役が多いが、その出演作品数は多い。2014年の『マレフィセント』では、幼いオーロラ姫を見守る3人の妖精の1人、ノットグラスを演じ、2019年の続編でも同役を続投している。魔法に関連するキャラクターではあるが、アンブリッジとは違ってトボけたキャラクターで、物語に笑いを添えた。

 さらに2019年には、人気テレビシリーズの映画版『ダウントン・アビー』に出演し、さらにその続編『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』(2022年)でも続投。詳しくは後述するが、この作品で彼女は、マクゴナガル先生役のマギー・スミスと再共演している。また、2022年にはNetflixシリーズ『ザ・クラウン』シーズン5でエリザベス2世を演じ、長いキャリアのなかでも珍しく、映像作品で主演を務めた。2023年11月から配信され、最終シーズンとなるシーズン6でも、ひきつづきエリザベス二世を演じる。

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