小林千晃、『葬送のフリーレン』で改めて考えた死生観 「生き方の在り方も一つではない」

演技で大切なことは「はみ出さないけど、囚われない」

ーー作品では「師弟関係」が大きなキーワードになってきます。小林さんが人生の中で出会ってきた「恩師」といえばどんな方ですか?

小林:恩師と言われるとなかなかパッと思いつかないのですが……。尊敬する先輩はたくさんいます。それこそ、アイゼン役の上田燿司さんは尊敬する役者さんの1人です。

ーー上田さんとの印象に残っているやりとりを教えてください。

小林:4年ぐらい前、燿司さんと一緒の現場で思った通りに噛まずに言えないセリフがあって。他の先輩たちをお待たせしているから早く終わらせたい気持ちと、そこで勝手に妥協したくない自分がしっちゃかめっちゃかになりながら奮闘していました。そんな時に燿司さんがボソッと、「このワードをこうすれば言いやすくなると思う」みたいなことを言ってくださって。嬉しかったし、勉強になりました。きっと燿司さんは覚えていらっしゃらないと思うので、僕が勝手に覚えているだけなのですが……。今回師弟役でご一緒できたことは、僕にとってはかなり嬉しかったです。

ーーまさに教え方がアイゼンっぽいというか(笑)。

小林:そうなんです。最初の5回ぐらいは見守っててくれて、終盤になってボソっとそれだけを言ってくれて。先輩にもいろいろなタイプの方がいるじゃないですか。燿司さんはあんまり口数で語るタイプではなく、最後の最後にちょこっとだけヒントをくれるところが素敵でした。

小林千晃

ーー小林さんご自身も、言葉よりも演技でみせていくタイプですか?

小林:そうかもしれないですね。もちろん今の段階では、まだ後輩も多くないので何も言えませんが。声優の世界は実力主義なので、基本は自分で(足りないものに)気づけるかどうかが鍵になると思います。とはいえ、一緒に作品作りをしていく仲間でもあるので、いつかは教えることもあるかもしれませんね。ただ、自分の感覚と相手の感覚は全然違うところもあるから、“自分の正解がすんなり相手の腑に落ちるか”はまた違う気もします。そういうことを考えてしまうと、なかなか何も言えないかもしれません。もし現場で僕が最年長の作品があれば、演技そのものが助言になったら嬉しいです。でも、まだまだ先の話かな(笑)。

ーー本作で描かれているフリーレンの旅は、“人の心に触れる旅路”です。声を通して人の心に触れる作品を作るために、何を大切にされていますか?

小林:枠を意識しながらも、枠に囚われない演技を大切にしています。ある時、とある音響監督が、「みんなアニメに感動してこの業界に入ってくる。でも実際にアフレコすると、ボールド(声優がセリフを喋るタイミングを示すマーク)とかパク(セリフを喋っている画面の口の動き)を意識した演技になっちゃうんだよね」と言っていて。「君たちは『この声優、パクがぴったり!』って感動したから声優を目指したの?」って言われたんです。その言葉は響きましたね。あくまで、細かな指示は作品作りのヒントでしかない。本質はもっと違う部分にあって、綺麗に演じられることが、感動を生むこととイコールではないわけです。でも技術職だから、あまりにも枠からはみ出ると、作品が成立しなくなってしまうんです。だからはみ出さないけど、囚われない。それが人の心に触れる作品を生む演技なんだと思います。

■放送情報
『葬送のフリーレン』
日本テレビ系「FRIDAY ANIME NIGHT(フラアニ)」枠にて、毎週金曜23:00〜放送
キャスト:種﨑敦美、市ノ瀬加那、小林千晃、岡本信彦、東地宏樹、上田燿司
原作:山田鐘人、アベツカサ『葬送のフリーレン』(小学館『週刊少年サンデー』連載中)
監督:斎藤圭一郎
シリーズ構成:鈴木智尋
キャラクターデザイン・総作画監督:長澤礼子
コンセプトアート:吉岡誠子
魔物デザイン:原科大樹
アクションディレクター:岩澤亨
美術監督:高木佐和子
美術設定:杉山晋史
色彩設計:大野春恵
3DCGディレクター:廣住茂徳
撮影監督:伏原あかね
編集:木村佳史子
音響監督:はたしょう二
音楽:Evan Call
アニメーション制作:マッドハウス
OPテーマ:YOASOBI「勇者」
EDテーマ:milet「Anytime Anywhere」
©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会
公式サイト:https://frieren-anime.jp
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/Anime_Frieren

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