『MEG ザ・モンスターズ2』は最高のサマームービーだ 海底→海上で切り替わる巧みな構成
<海底パート>と<海上パート>の二部構成
前作もそうだったのだが、『MEG ザ・モンスターズ2』が非常に特徴的なのは、<海底パート>と<海上パート>のはっきりした二部構成になっていることだ。
地球の最深部マリアナ海溝で、潜水服に身を包んだステイサムら研究チームは、徒歩で海底ステーションを目指す。防護マスクに亀裂が入ってしまう、残りの酸素が僅かになってしまう、というレッドアラートな危機。そして深海生物の攻撃によって、仲間たちが次々と命を落としていく。そう、<海底パート>は実はしっかりとしたサスペンスホラーとして作られているのだ。
だが、突如そのリアリティラインが崩れる。マリアナ海溝の海底に、なんとステイサム兄貴が生身で飛び出すのである(しかも、副鼻腔で呼吸すれば大丈夫というものすごい理由で)。おそらくこの瞬間に映画のスイッチが切り替わり、『MEG ザ・モンスターズ2』はサスペンスホラーから、B級お馬鹿アクションへと変貌する。
舞台は、リゾート客たちが集う島ファンアイランドへ。<海上パート>になると、もはや手に汗握るサスペンスは存在しない。違法採掘業者たちに襲われようが、巨大ダコに襲われようが、巨大トカゲに襲われようが、ステイサムら一行は無敵モードに突入していて、決して命を落とすことはない。ただただ、景気のいい映像が続いていくだけ。前半と後半で、こうも手触りが違うとは!
ある意味でこれは、制作サイドの賢い計算ともいえる。<海底パート>の重苦しい展開があったからこそ、<海上パート>になると一気に解放されて、B級お馬鹿アクション感が強まるのだから。緊張と緩和というオーソドックスな説話法が、映画全体を通じて組み込まれている。
花火とか海水浴とか、夏っぽいことをしなかった人が夏を感じるには、『MEG ザ・モンスターズ2』は最高のサマームービーだ。余計なことは、何も考えなくていい。ただただコーラをガブ飲みし、たらふくポップコーンを胃の中に放り込めばいい。エンタメって、そういうことだ。
■公開情報
『MEG ザ・モンスターズ2』
全国公開中
監督:ベン・ウィートリー
出演:ジェイソン・ステイサム、クリフ・カーティス、シエンナ・ギロリー
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
公式サイト:megthemonsters.jp