『君たちはどう生きるか』をもう一度観たくなる 滝沢カレンがまさかのワラワラ役

 もちろん、声を担当している人の顔が思い浮かぶからこそ意外なキャスティングもある。もともとジブリ作品では『耳をすませば』(1995年)で当時14歳の高橋一生が天沢聖司役に抜擢されたり、『となりのトトロ』(1988年)で、サツキとメイの父タツオ役としてコピーライターの糸井重里が起用されたり、『風立ちぬ』(2013年)の主人公・堀越二郎役に庵野秀明と、あっと驚くような人がボイスキャストに選ばれることが多い。本作でいえば、ワラワラ役の滝沢カレンやヒミ役のあいみょんがこの枠にあたるのではないだろうか。

 滝沢が演じるワラワラはキリコ(柴咲コウ)に世話をしてもらいながら暮らしている白い妖精。手足がちょこんと出ていてふわふわしており、その小ささは『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』(2001年)に出ていた「まっくろくろすけ」や『もののけ姫』(1997年)の「こだま」を思い出させた。その声はふわふわ感がさらに増すような可愛いものなので、ぜひ劇場で確認して欲しい。

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「やっぱり基本的に、ものすごくみんな真面目に『自分はどういうふうに生きていったらいいんだろう?』ってふうに子供たちが思ってる…

 現在放送中の朝ドラ『らんまん』(NHK総合)の主題歌「愛の花」を歌うあいみょんが演じるヒミは、眞人の冒険にも、本作全体にも関わってくる重要なキーパーソン。天真爛漫な雰囲気のヒミだが、ややハスキーな声でハキハキと話すので、行動力のある活発さが感じられるようになる。あいみょんの声がキャラクターをより魅力的にしているのだ。

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朝ドラの主題歌というものは不思議だ。約半年の放送で同じメロディが流れ続ける。しかもまだ撮影が終わっていない、ともすれば全ての展開…

 詳しい情報がほとんど出ないまま公開となった本作が気になり、すでに鑑賞済みの人も多いかもしれない。だがこれを機に、配役を知った上でもう一度鑑賞してみるとまた違った発見ができ、楽しめることだろう。

■公開情報
『君たちはどう生きるか』
全国公開中
出演:山時聡真(眞人)、菅田将暉(青サギ ・ サギ男)、柴咲コウ(キリコ)、あいみょん(ヒミ)、木村佳乃(夏子)、木村拓哉(勝一)、大竹しのぶ(あいこ)、竹下景子(いずみ)、風吹ジュン(うたこ)、阿川佐和子(えりこ)、滝沢カレン(ワラワラ)、國村隼(インコ大王)、小林薫(老ペリカン)、火野正平(大伯父)
原作・脚本・監督:宮﨑駿
主題歌:米津玄師「地球儀」
製作:スタジオジブリ
配給:東宝
©2023 Studio Ghibli

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