『ふたりのマエストロ』ラストシーンは今年ベスト級 指揮者親子の不器用な愛情に涙

『ふたりのマエストロ』ラストは今年ベスト級

 そんななか、父フランソワに世界最高峰の劇場「ミラノ・スカラ座」の音楽監督就任の依頼が届きます。長年夢に見たオファーに喜ぶフランソワでしたが、翌日、息子ドニがスカラ座の責任者に呼び出されます。そこで、実はドニへの依頼が誤って父に届いていたことが告げられるのです。

 『コーダ あいのうた』のプロデューサーが手掛けていることもあり、複雑な親子関係を音楽を通して描く手腕はお見事。88分というコンパクトな尺に、音楽業界の政治的な側面や、父と子、そして孫の3代をめぐるヒューマンドラマ、2人の主人公を取り巻くラブストーリーが過不足なく詰まっています。

 前半は誤報に喜ぶ父親になかなか真実を告げられないドニにやきもきさせられますが、「そうきたか!」と唸らされる展開もあり、ラストシーンは間違いなく今年度ベスト級でした。尊敬と嫉妬が入り交じる親子関係は、気まずすぎる間違いを経て、どんなふうに帰着するのか。ぜひ劇場で確かめてみてください。

■公開情報
『ふたりのマエストロ』
8月18日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
監督:ブリュノ・シッシュ
出演:イヴァン・アタル、ピエール・アルディティ、ミュウ=ミュウ、キャロリーヌ・アングラーデ、パスカル・アルビロ、ニルス・オトナン=ジラール
配給:ギャガ
2022/フランス/原題:Maestro(s)/88分/シネスコ/5.1ch デジタル/字幕翻訳:松岡葉子/PG12
©2022 VENDÔME FILMS – ORANGE STUDIO – APOLLO FILMS
公式サイト:gaga.ne.jp/MAESTROS
公式Twitter:@maestro_s_

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