この夏最大級の注目作の一つであろう実写版『ONE PIECE』がNetflixにて独占配信される日が少しずつ近づいている。YouTubeにアップされている公式の予告動画は再生数が伸び続け、本作に対する人々の期待の高さがうかがえるというものだろう。

　少し前に筆者は、主人公・ルフィが率いる麦わらの一味の再現度に言及するコラムを書いた。今回はその第2弾として、個性あふれる敵キャラクターたちへの期待を書いてみたい。

　全8話からなる本作で描かれるのは、発表されている登場人物たちや描写的に、おそらく原作の12巻あたりまでのよう。この間に描かれるエピソードに登場する主な敵キャラクターは、金棒のアルビダに、“海賊狩り”であったゾロを囚えていた海軍大佐の斧手のモーガンとその息子のヘルメッポ、道化のバギーにキャプテン・クロ、首領・クリーク、鷹の目のミホーク、そして魚人海賊団を率いるアーロンである。この頃のアニメ版をリアルタイムで追っていた世代の人間からすると錚々たるメンツ。彼・彼女らが麦わらの一味の前に立ちはだかっては、お茶の間の人々の胸をときめかせ、エンターテインしてくれたものだ。

　注目すべきは、このキャラクターたちを演じる俳優陣がどれだけ役の個性を体現できるかということ。たとえば、「この海で一番美しいものは何だい」が口癖のアルビダは後に大きな変貌を遂げて再登場するが、序盤も序盤でルフィにブチのめされる。美に執着する人物だが心は卑しく、それが言動に出るキャラクターだ。しかも、物語が始まったばかりで誰がどれくらいの力を持っているかを知らない私たちからすれば、海賊団を率いて配下の者たちから恐れられている彼女はそれなりにヤバいのであろう人物に映るはず。が、序盤も序盤でルフィにブチのめされる。演じるのはイリア・イソレリス・パウリーノ。分かりやすく見た目を寄せていくことよりも、このあたりの“個性”をどう表現していくのかが作品全体のクオリティに影響してくるだろう。