『らんまん』佐久間由衣にはひたむきな役がよく似合う 泥臭さの中に光るリーダーシップ

 『らんまん』(NHK総合)の高知編のヒロインとも言える万太郎(神木隆之介)の姉・綾(佐久間由衣)がいまだかつてない窮地に追い込まれている。女人禁制の蔵元ながらも、槙野家を継いだ綾。峰屋のため、また長年尽力してくれる蔵人のために健気に自分の身を捧げてきた綾に腐造というあまりに酷な現実が待ち受けているなんて……。空っぽになった蔵に無情に響く綾の慟哭が、突然のことで飲み込み切れない現実のやるせなさを何より表しており、あまりに辛く、痛々しかった。

 佐久間にはひたむきな役どころがよく似合う。意図せず、少し周囲からはみ出てしまう宿命を背負いながらも、打算なく信じた道を突き進む。居心地の悪さを抱えながらも、周囲に媚びたりすることもなく抜け道もせずに真っ向勝負する。正義感が強く、見て見ぬ振りができず、時に損をすることだってあるが、そもそも損得勘定でなど生きていない。思い切りの良さや潔さがあり、自分の足でしっかり立っている。そんな不器用なまでに誠実で、自身を偽ったり誤魔化したりしない役どころが本当によくハマる。『らんまん』の綾もそうだが、周囲の無理解や先入観と闘うというよりは、そんな次元を超えて、自分自身や自分の初志と闘う戦士のようなキャラクターが続いているように思える。

佐久間由衣、『初恋の悪魔』でオン眉カットに 「監督に相談させていただきました」

7月16日より日本テレビ系で放送がスタートする林遣都と仲野太賀のW主演ドラマ『初恋の悪魔』に出演する佐久間由衣の役写真が公開され…

 意志が強く、嘘のつけない真っ直ぐな役どころは、坂元裕二脚本のミステリアスコメディ『初恋の悪魔』(日本テレビ系)での新人刑事・服部渚役でも遺憾無く発揮されていた。一生懸命で真面目すぎるがために、捜査方針と違う新たな情報を掴み進言し、その場を白けさせたり邪魔者扱いされるも、本人はそれにさえ気づいていない節がある。実直すぎるゆえに刑事課では受け入れられないという理不尽さや生きづらさを抱えながらも、自身の正義を貫く強さや泥臭さが光っていた。

 また、映画『ちひろさん』では、マコト(嶋田鉄太)の母親で夜のお店で働くシングルマザーのヒトミ役を好演。周囲への頼り方がわからず、馬鹿にされたくないという思いばかりが強くて不器用な母親を体現していた。

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