アニメ『ONE PIECE』第1071話は文句なしの“神回”に ギア5の凄さと「ニカ」の謎
見かけだけなら“ギア4”がいかにも強そうだが、膨らんだ体は見てくれとしてカッコいいものではなかった。怒ったような顔も怖かった。覇気だけで大勢を屈服させるシャンクスや、立っているだけでひれ伏したくなった白ひげに比べると、異形が過ぎる“ギア4”のルフィを最強と言うには憚られるところがあった。
“ギア5”となり「ニカ」となったルフィは、鳴り響くドラムをバックに大笑いしながら手足を伸ばしてパンチやキックを放ったり、体を大きくしてカイドウを抱えて振り回したりするところがいかにも自由で、そして最高だ。TVアニメではそうした動きが、結構な時間を使って描かれていて、スピーディでパワフルな技を繰り出していることが強く感じられた。さすがは超速のバトルで目を引いた映画『ドラゴンボール超 ブロリー』を監督した長峯達也の演出回といったところだ。
びっくりすれば目玉を飛び出させて、いかにも驚きましたといったマンガチックな顔になるが、すぐさま笑顔に戻って攻撃を受け止め、いなしてみせるところには、強さを超えた余裕が感じられる。まさしく神としか言い様のない存在に上り詰めたルフィが、いよいよ始まるカイドウとの最終決戦でどのような戦いぶりを見せてくれるかが、TVアニメの当面の見所だ。
そして、『ONE PIECE』という物語全体の鍵にもなる。「これがおれの最高地点だ」とルフィは“ギア5”のことを言う。そこに到達したのだとしたら、以後は目の前のカイドウを倒すだけでなく、ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を手に入れ海賊王になるまでの間に立ちふさがる四皇の黒ひげであり、海軍であり世界政府といった壁を超えていく戦いが繰り広げられることになるだろう。
今までですら壮絶な戦いを重ねてきたルフィが、最高地点で見せる戦いとはいったいどのようなものなのか。世界の構造にすら及ぶ物語になっていくのか。原作漫画では既に描かれ始めている最終章の物語を、これから追いかけて行くTVアニメを観て確かめていこう。10月20日から1カ月限定で再上映が決まった『ONE PIECE FILM RED』を劇場で観て、“ギア5”になったルフィがシャンクスと並び立つくらいに強いことを確認すれば、ルフィが最終章を戦うに相応しい強さの持ち主になっていることも分かるはずだ。
■放送情報
アニメ『ONE PIECE(ワンピース)』
フジテレビ系にて、毎週日曜9:30~10:00放送
キャスト:田中真弓、中井和哉、岡村明美、山口勝平、平田広明、大谷育江、山口由里子、矢尾一樹、チョー、宝亀克寿ほか
原作:尾田栄一郎『週刊少年ジャンプ』(集英社)連載
制作:フジテレビ、東映アニメーション
©︎尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
公式サイト:https://one-piece.com/
公式Twitter:@OPcom_info