杉田協士新作『彼方のうた』ヴェネチア映画祭に出品 小川あん、中村優子、眞島秀和ら出演

『彼方のうた』ヴェネチア国際映画祭に選出

 杉田協士監督最新作『彼方のうた』(英題:Following the Sound)が、第80回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門に選出された。

 本作は、短歌を原作として製作された『ひかりの歌』『春原さんのうた』を監督してきた杉田にとって、デビュー作『ひとつの歌』以来12年ぶりとなるオリジナル作品。

 助けを必要としている見知らない人のことを思い、手を差し伸べ、丁寧に関係を築いていこうとする書店員の主人公・春を演じるのは小川あん。そして、春が自分自身と向き合うきっかけとなる雪子役を中村優子、剛役を眞島秀和が演じる。また、撮影の飯岡幸子、編集の大川景子、音響の黄永昌、音楽のスカンク/SKANKと、これまでの杉田作品を支え続けるスタッフが集った。

 書店員の春(小川あん)は、駅前のベンチに座っていた雪子(中村優子)に道を尋ねるふりをして声をかける。春は雪子の顔に見える悲しみを見過ごせずにいた。一方で春は剛(眞島秀和)の後をつけながら、その様子を確かめる日々を過ごしていた。春にはかつてこどもだった頃、街中で見かけた雪子や剛に声をかけた過去があった。春の行動に気づいていた剛が春の職場に現れることで、また、春自身がふたたび雪子に声をかけたことで、それぞれの関係が動き出していく。春は2人と過ごす日々の中で、自分自身が抱えている母親への思い、悲しみの気持ちと向き合っていく。

 杉田監督は「『彼方のうた』の脚本に書かれたすべてのシーンを撮り終えた日、この映画にはもうひとつのシーンがあると気づきました。皆さんと過ごした撮影の日々がそのことを最後に教えてくれました」とコメント。

 小川は「4年前。俳優をやめていた時に、また映画のひかりを見つけられたのは、杉田さんの映画を見たからでした」と杉田監督への想いを語った。中村は「撮影でお世話になったお一人お一人、御顔の見える手作りの作品が、軽やかに海を超える奇跡。映画って素敵です」、眞島は「現場では杉田監督の世界観で、独特な杉田時間が流れているんです。演出していない様でしている様な、カット割を決めていない様で決めている様な、そんな優しい時間が流れています」と撮影時を振り返った。

 本作が出品されるヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門は、革新性や探究心、オリジナリティ、インディペンデント精神などにあふれた作品がセレクションされるコンペティション部門。第80回を迎える今年のヴェネチア国際映画祭は、イタリア時間8月30日から9月9日まで行われ、杉田監督も参加する予定だ。

 あわせて海外版ビジュアルとスチールも公開。なお本作は、2024年に劇場公開、同じく2024年にRoadsteadにて独占配信が予定されている。

コメント

杉田協士(監督)

『彼方のうた』の脚本に書かれたすべてのシーンを撮り終えた日、この映画にはもうひとつのシーンがあると気づきました。皆さんと過ごした撮影の日々がそのことを最後に教えてくれました。見返すたびに、どうしてこのような瞬間を残すことができたのだろうと心が震わされます。そこに至ることができたのは、小川あんさん、中村優子さん、眞島秀和さんをはじめとした出演者の皆さん、スタッフの皆さんが、楽しむことも迷うこともただそのままに、ありのままにそこに一緒に居続けてくれたからだと思います。それは信じるということだったと思います。そうして完成したこの映画がヴェネチア国際映画祭で上映されることをとてもうれしく思います。これから多くの方々にこの作品に出会ってもらえるように、ひきつづきがんばってまいります。

小川あん(春役)

4年前。俳優をやめていた時に、また映画のひかりを見つけられたのは、杉田さんの映画を見たからでした。『彼方のうた』に出演することができて、とても幸せです。作品に関わっている全てのみなさま、国を超えて見つけてくださったみなさま、物語の中に生きてるみんなも、本当にありがとうございます。ヴェネチアからはじまり、多くの方に『彼方のうた』が届きますように。

中村優子(雪子役)

杉田さん、おめでとうございます。『彼方のうた』の長い旅が、美しいヴェニスより始まる幸運に心から感謝いたします。撮影でお世話になったお一人お一人、御顔の見える手作りの作品が、軽やかに海を超える奇跡。映画って素敵です。

眞島秀和(剛役)

杉田監督とは約20年ほど、自主映画仲間としての付き合いがあります。今回久しぶりにお会いして、あの頃と変わらずというか、ますます思慮深く穏やかな、どこか少年の様なところはそのままの杉田監督でなんだか嬉しくなったことが印象に残っています。現場では杉田監督の世界観で、独特な杉田時間が流れているんです。演出していない様でしている様な、カット割を決めていない様で決めている様な、そんな優しい時間が流れています。そんな杉田作品が多くの方に触れる機会が訪れたこと、とても嬉しく思っております。ヴェネチア国際映画祭への参加、おめでとうございます。

■配信情報
『彼方のうた』
2024年劇場公開予定
Roadsteadにて、2024年独占配信予定
脚本・監督:杉田協士
出演:小川あん、中村優子、眞島秀和
プロデューサー:川村岬、槻舘南菜子、髭野純、杉田協士
アソシエイト・プロデューサー:笹木喜絵、田中佐知彦
撮影:飯岡幸子
音響:黄永昌
照明:秋山恵二郎、平谷里紗
衣裳:小里幸子、阿部勇希
ヘアメイク:齋藤恵理子
編集:大川景子
カラリスト:田巻源太
音楽:スカンク/SKANK
スチール:小財美香子
宣伝:平井万里子
国際広報:グロリア・ゼルビナーティ
製作:ねこじゃらし
制作プロダクション・配給:イハフィルムズ
公式Twitter:https://twitter.com/kanata_no_uta
Roadstead公式サイト:https://roadstead.io

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