『らんまん』中村蒼が思い出させる学問の“初心” 佑一郎との再会が万太郎を鼓舞する

『らんまん』中村蒼が“初心”を思い出させる

「自分が何者か、人はそれを探していく。学びはその助けになる。(中略)道を選ぶがは、いつも己じゃ」

 蘭光の言葉で佑一郎が理解したのは、自分と万太郎の関係に上も下もなく、等しく自分が何者かを探す旅の途中であるということ。いわば同志となった2人は、佑一郎が万太郎よりも先に東京へ旅立ったあの日からそれぞれの金色の道を歩み始めた。万太郎は植物学の道へ、佑一郎は土木工学の道へと。

 佑一郎のモデルは“港湾工学の父”と呼ばれる広井勇ではないかと言われており、東京で役人をしている叔父の世話になった後、札幌農学校で土木工学を専攻。東京に戻ってきてからは工部省で鉄道を通す仕事に従事するなど、佑一郎はこれまで広井が辿った道をおおよそそのままなぞらえた形となっている。その流れでいけば、佑一郎はこの後アメリカに渡り、ミシシッピ川の治水工事に携わる予定だ。今回はその報告をしに万太郎の元へやって来たのだろう。そういえば十徳長屋に顔を出した佑一郎のバックでは、やたらワールドワイドなBGMが流れていた。

 万太郎にとって、佑一郎は“初心”を思い出させてくれる存在だ。演じる中村蒼のまっすぐ先を見据えた表情を見ていると幼い頃の佑一郎、ひいては外柔内剛な仁淀川の水流が眼に浮かぶ。自分が何者であるかは身分や学歴ではなく、自分が成し遂げたことで証明していく。二度目の佑一郎との再会は、険しい道を進む万太郎を再び鼓舞してくれることだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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