世界中で愛された名作が映画館で蘇る! 純粋な心を思い出させてくれる『プチ・ニコラ』
ニコラのセリフを次々とイラスト化していったり、ニコラの空想のシーンをとにかく自由に色々な方法で描き出していくのが魅力の本作だが、私の中で特に印象的だったシーンが2つある。1つ目は、ニコラの家にメメ(祖母)が訪ねてきた日の時間の流れを描いているシーン。太陽に照らされ、明るかった世界が暗い夜へと切り替わっていく様子を、白い紙に夜色の絵の具をじゅわっと染み込ませていくかのように描いており、その芸術的な表現がとても美しく興味深かった。
そして2つ目は、ニコラがスクールメイトたちと砂遊びをしているシーン。ただ砂で遊んでいるだけなのに、子どもたちは自由に想像力を働かせ、車を通すトンネルを作ったり、お城を作ったり、大きな穴を掘ったり自分の世界を楽しんでいる様子を見ていて、アイデアの源は、自分のすぐそばにたくさん転がっているのかもしれないなと思った。
心躍らせるニコラの物語は、ニコラに命を吹き込んだサンぺとゴシニの人生と重なっていき、彼らの友情さえも永遠のものにしていく。パリの美しい風景を背景に繰り広げられるニコラの冒険は、観る人の心を温かく包み込み、子どもの頃の純粋な心を思い出させてくれるだろう。ぜひ、劇場でその魔法に触れてみてほしい。
■公開情報
『プチ・ニコラ パリがくれた幸せ』
公開中
原作:ルネ・ゴシニ、ジャン=ジャック・サンペ『プチ・ニコラ』(世界文化社刊)
監督:アマンディーヌ・フルドン、バンジャマン・マスブル
脚本:アンヌ・ゴシニ、ミシェル・フェスレー
音楽:ルドヴィック・ブールス
出演:アラン・シャバ、ローラン・ラフィット、シモン・ファリほか
配給:オープンセサミ、フルモテルモ
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
フランス/2022/仏語/ビスタ/5.1ch/86分/字幕翻訳:古田由紀子/映倫:G
©2022 Onyx Films – Bidibul Productions – Rectangle Productions – Chapter 2
公式サイト:petit-nicolas.jp