永瀬廉はもっともっとおもしろい役者になる 役柄に“物語を与える”唯一無二の個性

『夕暮れに、手をつなぐ』最終回で交わった空豆と音の運命 永瀬廉の「好きだ!」が響く

『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)の放送開始前に公開されたポスタービジュアルが表していたのは「2人が一緒に過ごす、最後の1日」…

 そうした流れで1月期に放送された『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)では、永瀬自身と同じ20代前半の青年・音の役。資産家の家主のもとで暮らしながらコンポーザーとしての成功を目指し、広瀬すず演じる空豆との出会いによって人生が大きく動く。親の反対を押し切って音楽の道を選んだというバックグラウンドは設定されているものの、劇中ではほとんどそれが深掘りされないまま物語が運ぶ点は興味深い。直接語られずとも、ふと見せる表情ひとつ台詞ひとつで充分にそれらが物語られる。北川悦吏子脚本の、“何を描くか”が明確にあることもそうだが、それを体現できるだけのスキルを永瀬が会得したことの証左だ。

 いわゆる“等身大”でありつつも、音という役柄を他の同世代の俳優が演じられるとは到底思えない。どことなく帯びた影、穏やかでありながらも内側に秘めた多くの情報を受け手に汲み取らせる真実味。それらを永瀬の特徴的な声質と発声のトーンがかたちづくる。それは東日本大震災という過去と父親という現在と自身の未来のなかで板挟みになった『おかえりモネ』の亮でも、今回の『映画ドラえもん』でのソーニャでも同様だ。与えられた役柄に、可視化された以上の物語を与える力を備えている。

King & Prince 永瀬廉、初の刑事役で『ラストマン』出演決定 「手錠はかけてみたい(笑)」

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 学生役と将来に悩む若い青年役を経たとなれば、次に来るのはもっと職業性の強い役柄だろうと思ったタイミングで、4月期に放送されるTBS系の日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』では刑事役を、さらに秋に公開される主演映画『法廷遊戯』では法曹界、弁護士を目指す主人公を演じるという。ひとつひとつ的確に、俳優としての武器を得ていく永瀬廉は、これからもっとおもしろい役者になるに違いない。

■公開情報
『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』
公開中
キャスト:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、井上麻里奈、水瀬いのり、永瀬廉(King & Prince)、山里亮太(南海キャンディーズ)、藤本美貴
原作:藤子・F・不二雄
監督:堂山卓見
脚本:古沢良太
主題歌:NiziU「Paradise」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
©︎藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2023
配給:東宝
公式サイト:https://doraeiga.com/2023/

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