なぜ朝ドラは視聴者の関心を集め続ける? 盛り上がりの背景を朝ドラ記事編集担当と考える

なぜ朝ドラは視聴者の関心を集め続ける?

 一方で、視聴率に表れるような本編の物語自体の人気度と、SNSの盛り上がりには少しズレがあることも。視聴者は朝ドラをどのようなコンテンツとして観ているのだろうか?

「物語には描かれていないアナザーストーリー(イラストなども)などが多いときは、視聴者の方々が熱中されているのが伝わってきます。ほかの連続ドラマや映画作品などよりも、物語のキャラクターたちを自分自身の友人・家族のように語る方が多くなっていくのも朝ドラの特徴だと思います」

 実際に朝ドラの放送後の時間帯は、朝ドラに関係するワードがトレンド入りすることが多い。地上波のドラマとは比べものにはならないほど、朝ドラへの反応は強いものがあるが、何がそこまで視聴者の関心を高めるのか?

「“ドラマを観る”という意識以上に、“生活の一部”になっていることが大きいと思います。朝の8時以外の時間帯で観る方もたくさんいると思いますが、朝起きて、家を出るまでの間に自然とそこにあるもの。『カムカムエヴリバディ』では、劇中で朝ドラを映してその時代を表す効果的な見せ方をしていたように、“ドラマ”という以上に朝ドラは時代を反映する存在になっていると感じます」

 現代までを描く朝ドラも増えているが、現在放送中の『らんまん』、次作の『ブギウギ』、次々作の『虎に翼』など、時代設定が毎回変わる朝ドラに“一貫する哲学”のようなものはあるのだろうか。

「取材などを通して、制作統括の方が語る言葉に共通しているのは、『誰かの背中を押す』『勇気を与える』というもの。コロナ禍によって放送が中止となった『エール』の際に感じたことですが、毎日放送があることがどれだけ幸せなことか痛感しました。描く時代や設定が変わっても、これからも朝ドラはあり続けてほしいですね」

 「朝ドラ」は単なるドラマを越えて、“生活の一部”となっている。毎日の始まりに登場人物たちが強く生きる姿をみて、現実の1日を元気に過ごす活力をもらう。習慣であるからこそ、不変の人気コンテンツであり、視聴者はそこにリアルさと感動を求めるのだ。これから時代が良くなろうとも、悪くなろうとも、きっと朝ドラはその時代に生きる私たちの背中を押してくれているだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』
NHK総合にて、4月3日(月)より放送【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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