『ゴッホ「ひまわり」に隠された謎』は極上のミステリー 1時間半で世界の美術館を巡る

『ゴッホ「ひまわり」に隠された謎』を堪能

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、最近花瓶を買った花沢が「アート・オン・スクリーン Season3」より『ゴッホ「ひまわり」に隠された謎』をプッシュします。

『ゴッホ「ひまわり」に隠された謎』

 ゴッホという画家の人生は、どうしてこうもドラマに満ち溢れているのだろう。映画に詳しい人であれば、ウィレム・デフォーが晩年のゴッホを熱演した『永遠の門 ゴッホの見た未来』や『ゴッホ 最期の手紙』、『炎の人ゴッホ』など彼の作品や人生が何度も映像化されているのをご存知だと思う。

 ゴッホの人生には、とにかく謎が多い。有名な片耳を切り落としたエピソードは、一体何のためにやったのか。わずか数カ月で解消してしまった画家ゴーギャンとの同居生活に何が起きたのか。そして、その早すぎる死にもいくつかの考察がなされている。

 本作は、世界の優れた美術展を高画質の映像に収め、映画館の大スクリーンで鑑賞するアートドキュメンタリーシリーズ「アート・オン・スクリーン」の中の1作だ。

 ゴッホの代表作「ひまわり」。同じ花、同じ構図で7枚もの連作を描きあげたゴッホは、なぜひまわりをモチーフに選んだのか。その謎を解明するべく、「ひまわり」を所蔵する世界5都市(アムステルダム、ミュンヘン、ロンドン、東京、フィラデルフィア)の美術館を巡り、ゴッホの数奇な人生を辿っていく。登場するのは美術館職員だけでなく、植物学者や歴史家といった専門家の観点から、ひまわりという花が当時のヨーロッパ人にとってどんな意味合いを持っていたのかまで教えてくれる。

「この絵の前に立つことが、人生において最高の経験となる」

 7枚の「ひまわり」のうち、ゴッホ自身も“最高傑作”と認めたという1枚を所蔵するナショナル・ギャラリーの職員はこう語る。

 筆者は学生時代、実際にその「ひまわり」を見たことがある。ロンドンのナショナル・ギャラリーには、日本の美術館のようなガラスケースがなく、教科書で何度も見た絵を油絵の立体的な筆致のひとつひとつがわかるほど近くで見られることに感動を覚えた。

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