『Get Ready!』日向亘の胸震わせる青春劇 闇医者の名前に隠された先行作へのリスペクト

『Get Ready!』日向亘らの青春劇

 『Get Ready!』(TBS系)第7話は日向亘演じる“スペード”白瀬剛人が主役だった。ハッカーとして闇医者チームを支える白瀬が見つけた掲示板の書き込み。書いたのは高校生の岡田夏美(池間夏海)で、いじめを苦に屋上から飛び降りた望月遙(畑芽育)の手術を希望していた。遙は同級生の西島里佳(竹内カンナ)にいじめられていたと手紙に書き残していた。里佳の父親・岳雄(井上肇)は学園の理事長で、夏美は父親に遙の手紙を突きつけて手術代を負担させようとする。初恋の相手である遙を救おうとスペードは懸命に訴えるが、エース(妻夫木聡)は手術を断る。いじめの証拠を探すうちに意外な真相が明らかになった。

Get Ready!

 第7話では日向と畑、池間らフレッシュな顔ぶれに注目が集まった。現在18歳の日向は2020年に『太陽は動かない-THE ECLIPSE-』(WOWOW)でドラマデビュー。2021年には『仮面ライダーリバイス』(テレビ朝日系)で五十嵐大二/仮面ライダーライブ役に抜てきされるなど快進撃を続けている。子役として芸能界入りし、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)や数々の学園ものに出演してきた畑、連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合)、『ちむどんどん』(NHK総合)の出演が話題を呼んだ池間との共演は、一瞬のきらめきと感情が交差する上質な青春ドラマになっていた。

Get Ready!

 いじめの事実を知らせ、金を出させることでいじめていた教師と理事長に反省を促す。そのために屋上から飛び降りて瀕死の重傷を負うのは、いじめの偽装として明らかにやりすぎだ。回復して復讐するなら助けた意味はあったのかと疑問に思ってしまうが、論理で割り切れない衝動や刹那的な考えに意味を見出すのはこの年代ならでは。10代のわからなさをそのまま差し出したことは、青春劇特有のムードを強めるのに一役買っていた。

Get Ready!

 主演級が揃った闇医者チームにあって一回り以上若い日向は異色だが、堂々と自身の演技を披露する姿は頼もしい。同世代との切磋琢磨に加えて、今作では事務所の先輩である妻夫木聡や藤原竜也とのシーンも頻繁にあり、彼らの背中から多くのものを吸収しているようだ。アクション俳優の顔も持つ日向だが、抑えていた感情がチームの中でほぐれていく様子には、少なからず現場での関係性も反映されているのだろう。『太陽は動かない』でも鷹野一彦(藤原竜也)の高校時代を演じ、過去と現在をつなぐ存在だった。これまでの伝統を継承し、次世代のバトンを託された日向の今後に注目だ。

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