『アバター:WoW』北米で首位陥落 M・ナイト・シャマラン最新作&BTS映画が絶好調

 『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が、8週目にして首位陥落だ。2月3日~5日の北米映画興行収入ランキングは、鬼才M・ナイト・シャマラン監督による最新作『ノック 終末の訪問者』がNo.1に輝いた。

 本作は、森の中にある小屋で休暇を過ごしていた親子3人が、武器を手に突如現れた訪問者によって脅迫され、世界を終末から救うための“究極の選択”を迫られるスリラー。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ドラックス役のデイヴ・バウティスタをはじめ、『マトリックス レザレクションズ』(2021年)のジョナサン・グロフ、『Fleabag フリーバッグ』(2016年~2019年)のベン・オルドリッジ、『ハリー・ポッター』ロン役のルパート・グリントが競演した。

 北米3643館の拡大公開で、本作は3日間で1420万ドルを稼ぎ出したものの、意外にもシャマラン監督作品としては過去最も低い滑り出し。海外興収は702万ドルで、世界興収は2122万ドルとなっている。ただし、製作費は2000万ドル(シャマラン自身がほとんどを出資)と抑えられているため、黒字化にはほとんど手が届いている状況だ。

 評価が分かれやすいシャマラン作品だが、『ノック 終末の訪問者』はRotten Tomatoesにて批評家スコア68%・観客スコア68%という好記録を獲得。前作『オールド』(2021年)が批評家50%・観客53%、『ミスター・ガラス』(2019年)が批評家36%・観客67%だったことを踏まえると、本作が両者から比較的バランスよく支持されていることがわかる。日本公開は4月7日だ。

 また、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』を破った映画はもう1本ある。アメリカンフットボールのスター選手、トム・ブレイディがプロデュースした『80 for Brady(原題)』だ。親友同士のおばあちゃん4人組が、ブレイディの所属する(当時)ニューイングランド・ペイトリオッツの試合を目当てに、2017年のスーパーボウルを観るためヒューストンを目指すコメディである。

80 FOR BRADY | Official Trailer

 3日間で1250万ドルを稼ぎ出した本作は、なんと週末の動員数だけなら『ノック 終末の訪問者』を上回る130万人を記録。その背景にあるカラクリは、主なターゲットである大人の観客を映画館に呼び戻すための“値下げ作戦”だ。パラマウント・ピクチャーズは映画館と手を組み、本作の鑑賞料金を平均9ドル台まで下げたのである。この価格設定は公開直後だけでなく、上映期間中にわたり維持される。観客の50%以上が55歳以上だというから、この取り組みはひとつの成功と言えそうだ。

 出演者には『ナッシュビル』(1975年)のリリー・トムリン、『コールガール』(1971年)などの名優ジェーン・フォンダ、『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021年)も記憶に新しいリタ・モレノ、『ノーマ・レイ』(1979年)などのサリー・フィールドといった重鎮が集結。ブレイディも本人役で出演している。

 こちらも製作費は2800万ドルと比較的抑えめながら、Rotten Tomatoesでは観客スコア90%、出口調査に基づくCinemaScoreでは「A-」と高評価。実際にスーパーボウルの開催を控える中での公開、さらに2月1日にはブレイディが現役引退を発表するなど話題性にも事欠かないため、通常のコメディ映画とは異なる推移を期待したい。

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