髙橋海人の表現力の凄みを痛感 『ボーイフレンド降臨!』が迎えた美しいラスト

『ボーイフレンド降臨!』美しいラストに

「僕がこれから描く未来には、いつもかしこさんにいてほしい」

 愛や恋を知らずに生きてきた漆畑澄人(髙橋海人)の心が、かしこ(桜井ユキ)によって彩られていく。『ボーイフレンド降臨!』(テレビ朝日系)は、King & Princeが歌う主題歌「彩り」に導かれ、美しいラストを迎えた。

 全9話を通して痛感したのが、髙橋海人の表現力の凄みだ。最初に登場した澄人は、とにかく憎たらしくて生意気な青年だった。しかし、アサヒに扮している時は、『きみはペット』の“モモ”のような無防備さで、かしこと渉(田中みな実)を翻弄する。かと思えば、記憶を取り戻したあとの澄人は、アサヒとして過ごした日々の影響を受けて、物腰が柔らかくなっていた。

 つまり、記憶を取り戻した第8話から、髙橋は澄人にアサヒのエッセンスを加えた役柄を演じていたわけだが、この表現はかなり難度が高かったと思う。髪型や服装は同じなのに、心境の変化を視聴者に伝えなければならない。しかも、あからさまにしてしまえば、違和感が生まれてしまう可能性もある。

 髙橋は、かしこに語りかける時の“瞳”で、かつての澄人との差別化をしていた。周囲を寄せつけないオーラは健在であるにもかかわらず、かしこの前では“助けて”とすがるような瞳を見せるのだ。でも、素直にはなれないから、すぐにそっぽを向いてしまう。かしこと澄人は、似たもの同士の2人になってしまった。

 このままでは、永遠に距離が縮まることはないのでは……? と不安になった時、救世主となったのは渉だ。「ここで追いかけなかったら、本当にちがう世界に行っちゃうんじゃないの? それでいいの?」と素直になれないかしこに、発破をかける。

 “女の友情はハムより薄い”なんて言われることもあるが、この2人を見ていると、そんなことないなと思わされる。恋が始まった時、実った時、散ってしまった時、変わらずかしこのそばにいてくれたのは、渉だった。いつもは大人っぽいかしこが、子供のように口をとがらせるのも、渉の前だけ。

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