宮澤エマだからこそ表現できた実衣の“無防備”な魅力 『鎌倉殿の13人』全話を支えた人物に
宮澤エマ、『おちょやん』栗子役を語る 「いかに視聴者にとっておもしろい存在としていられるか」
11月30日より放送がスタートしたNHK連続テレビ小説『おちょやん』。主人公・千代(毎田暖乃/杉咲花)の新しい母親・栗子を演じる…
NHK連続テレビ小説『おちょやん』で主人公の継母役を演じた際も話題になった宮澤。妖艶な雰囲気で三味線を弾き、再登場したときは見事な老け役で、その豹変ぶりにも驚かされた。物語の中で変化していく役も、逆に変わることを拒否するかのように主張する役もどちらも軽やかに演じ分けられるというのも素敵なことだ。
そして、実衣の場合は、乳母として実朝に愛情を注ぎながらも、実朝に跡継ぎがいないことから自分の息子である阿野時元(森優作)を次の鎌倉殿にしたいと考えていた。実朝が暗殺されたことで実際に動いてしまう。そんな実衣の軽はずみな行動は三浦義村(山本耕史)を通じてすべて義時(小栗旬)に筒抜けで、息子の時元は義時が兵を挙げて自害に追い込まれ、実衣に対しても義時は「首をはねろ」と言い放った。
第1回の放送から最終回まで残っているのは、主人公の義時と政子と実衣だけになる。北条家の3人のほかは、義時の盟友の三浦義村くらいで、魅力的な人たちが毎週どんどん死んでいったのだった。
こんなにも権力の近くにいながら、ある意味無防備で、時々本音をこぼしながらも政子との姉妹の強い絆を丁寧に見せていくことで実衣の強い個性が浮かび上がる。
『鎌倉殿の13人』は第47回「ある朝敵、ある演説」を含めて、残り2話。「結局、仏様は全成様を助けてくれなかった」と言い、全成を亡くしたとき尼にはならないと決めていた実衣。ちなみに、実朝を亡くした千世(加藤小夏)は、すぐに出家していて、政子も源氏が平家打倒を掲げて戦をしているときから、頼朝が亡くなったらすぐに出家する覚悟はできていると言っていた。
次回の予告では実衣は尼の姿で登場しているのだが、彼女にどんな心境の変化があったのか。後鳥羽上皇(尾上松也)からは義時を追討せよという院宣が下り、政子の演説があり、とにかく見どころ満載の展開になりそうではある。鎌倉の危機であり、鎌倉最大の試練も気になるが、尼になった実衣の、その心情に寄り添いたいという気持ちも強くあるのだ。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK