山崎紘菜、『舞いあがれ!』出演でようやく“発見”される 福原遥らに刺激を与えた倫子役
そんな山崎が朝ドラに出演するのは意外にもこれが初。2012年の俳優デビューからちょうど10年という節目の年に国民的ドラマである朝ドラに重要なポジションで出演ができたのは、非常に喜ばしいことであり、さらなる飛躍の転機となるのは間違いないだろう。とはいえ冒頭で述べているように、映画ファンにとって山崎はすでに馴染み深い俳優であり、むしろ本作の誰よりも“国民的俳優”といえる存在でもある。そう、TOHOシネマズでの上映前(幕間)の時間に放映される「シネマチャンネル」のナビゲーターを、デビューの年から2021年まで務めてきたから。コロナ禍により劇場が休館を余儀なくされていた時期には、「山崎紘菜に会いたい」との声が散見されたものである。
映画ファンの象徴的存在!? 山崎紘菜が『ブレイブ -群青戦記-』で体現した“意思の強さ”
“あなたにとっての映画女優といえば誰?”と問われたら、なんと答えるだろうか。もちろん、そこで出てくる答えは千差万別。好きな作品、…
ドラマ作品では、ヒロインを務めた『監獄学園-プリズンスクール-』(2015年/TBS系)や、主要キャスト&スタッフが“平成生まれ”で構成された『平成物語 〜なんでもないけれど、かけがえのない瞬間〜』(2019年/フジテレビ系)で主演を務めたりと代表作がないわけではないが、期待の若手俳優が勢揃いした『ブレイブ -群青戦記-』(2021年)にてヒロインのポジションをまっとうしたり、特に今年は、日本以上に海外から熱い注目を浴びる深田晃司監督作『LOVE LIFE』への参加や、演劇界の若き鬼才・加藤拓也の長編デビュー作『わたし達はおとな』に参加したりと、映画領域での活動の方が顕著だ。『花筐/HANAGATAMI』(2017年)や『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』(2020年)など、日本が誇る巨匠・大林宣彦監督の作品への出演を重ねていたこともこの印象を強めている。
さて、ようやくお茶の間でも本当の意味で“発見”されつつある山崎紘菜。筆者はかねてより彼女のことを過小評価されている俳優だと思ってきた。ここまで記してきた通り、山崎はテレビよりも映画の人で、その存在がなかなか広く浸透しなかったからだろう。『舞いあがれ!』での活躍は、さらに広く大きな舞台でパフォーマンスをしていくことに繋がる。急(過ぎる)展開が続く本作だが、どうか倫子は最後まで活躍し続ける存在であってほしい。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK