原作超えの演出も? 『SPY×FAMILY』に散りばめられた絶妙なアニオリ描写を解説

『SPY×FAMILY』絶妙なアニオリ解説

 毎週土曜23時よりアニメ『SPY×FAMILY』の2クール目がテレビ東京ほかで絶賛放送中だ。今期は『チェンソーマン』『僕のヒーローアカデミア』など人気作がひしめいているが、そんな中でも1クール目同様、高い人気を得ている。

 『SPY×FAMILY』のアニメは原作に忠実に作られており、一見アニメオリジナル要素(以下、アニオリ)は少ないように思える。しかしよく観ると、毎話細かいアニオリが随所に散りばめられているのが特徴だ。

 2クール目も原作に忠実に物語が進行しているが、実はアニオリは多い。第13話でいうと、犬の譲渡会にきたアーニャは「ちっこいいぬさん! ねこさん! うさぎさーん!」と喜んでいるが、原作では駆け回っている様子のみ。アニメでは目を輝かせているところがアップになったり、ジャンプしてはしゃぐ姿が追加されたりしている。

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 その後テロリストのアジトに入ってしまったアーニャはボンドの背中に乗って逃げるが、その際の姿勢は若干異なる。原作だと最初から足を伸ばす形で乗っているが、アニメではワクワクを感じたところで、それまで後ろに曲げていた足をまっすぐ伸ばし姿勢を変えている。このアニオリでアーニャがボンドのことを信頼したことや、一緒に事件を解決しようという意志がより感じられるようになっている。

 さらに、アーニャが譲渡会の会場からいなくなってしまった際、ヨルは犬に食べられてしまったのではないかと疑う。原作・アニメ同様にすぐその可能性を否定するが、アニメでは「それは多分あり得ません!」と「多分」という単語が加わっている。アーニャが犬に食べられた可能性を否定しきっていないことで、殺し屋として生きてきたヨルの若干ズレた感覚が伺える。

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 またアーニャを見つけテロリストを蹴り飛ばした後「アーニャさんに結婚はまだ早いです! 私でさえ今年したのです!」と言った後に、ヨルが顔を若干赤らめる様子もアニオリとして加えられている。

 その後テロは無事防がれ、ボンドがアーニャに「おまえもうほーじゃーけのかぞく!」と迎えられる。描写自体は原作と同じだが、アニメではボンドの目元がアップで映し出されている。さらに光や色を効果的に活用することで、ボンドの目が潤んでいるように見える。この描き方により、それまで人間から酷い目にあわせられていたボンドが家族として迎えられたことを喜んでいることがより感じられ、さらに印象的なシーンとなっている。

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