細川岳、トラウデン都仁など 『舞いあがれ!』スワン号に熱い思いを乗せる男たち
何事にも正直な反応を示す1回生の日下部祐樹(森田大鼓)
舞と同じ1回生である日下部の持ち味は正直さにある。彼の人力飛行機への好奇心は、部室にはじめて足を踏み入れたときのワクワクした表情から伝わってくる。その一方で、リブの型紙を作る中で「ええかげん飽きたな」と口にしたり、舞から「これが翼になるんやと思たらワクワクせえへん?」と返答されると驚き呆れるような表情を見せたり、ネガティブな感情も正直に表れているのが面白い。日下部の素直な反応を通じて人力飛行機作りの苦労や楽しみが伝わってくる。
また舞の努力を知る日下部は、講義中に居眠りしてしまった舞をさりげなくサポートしていた。日下部は地道な努力を続ける舞に感化されているようで、好感が持てる。
先輩たちの目をまっすぐ見つめる1回生の藤谷翼(山形匠)
第16回で、部室や部員たちを興味深そうにまじまじと見たり、1回生を案内する鶴田の話を真剣に聞き入る姿から、藤谷の人力飛行機への強い関心は伝わっていた。登場した当初、藤谷が舞や日下部以上に鶴田へ熱い視線を向けているのが印象に残っていた。決起会で藤谷が鶴田の「翼が折れても心は折れへん」という言葉に感動して入会を決めたことが明かされる。山形の眼差しには鶴田への憧れが込められていたのだ。
スワン号作りに復帰したときには、藤谷や日下部に声をかけた玉本の目をまっすぐ見て「やっぱりスワン号飛ばしたいです」と口にした。舞に感化され、スワン号作りに力を尽くす彼もまた、好感が持てる人物だ。
「永遠の3回生」空さんこと空山樹(新名基浩)
当初は舞が話しかけても言葉を発さなかったが、鶴田が記録飛行への挑戦を口にしたときには誰よりも早く反応を示していた。第20回で空山は初めて言葉を発した。たった1人でスワン号の修正に取り組んでいた空山は舞に語りかける。「僕はスワン号が飛ぶところを見たいとよ」と話す空山の優しい声色と強い眼差しから、彼の熱意がひしひしと伝わってくる。
新名の佇まいには、舞がサークルに入るずっと前から人力飛行機に魅入られ、誰よりも機体に触れてきたという説得力が感じられる。言葉を発する場面は少なくとも、部員たちに対する反応とコツコツと作業を続ける姿を見れば、空山が部員たちから慕われているのが分かる。
役者陣の真摯な演技によって、部員たちの個性が光りながらも「なにわバードマン」という1つのチームが出来上がっている。スワン号を飛ばしたい思いは皆同じ。第6週ではいよいよ記録飛行への挑戦が始まる。舞の成長もさることながら、部員たちの動きにも注目したい。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK