『舞いあがれ!』横山裕は朝ドラで稀な“稼ぐ兄”? ネットでは違ったベクトルの心配事も

『舞いあがれ!』横山裕は希少な“稼ぐ兄”?

 連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)の第4週となる「翼にかける青春」が放送された。舞(福原遥)の大学生活を中心に描かれた第4週だったが、舞の成長の一方で大きな注目を集めたのが兄・悠人(横山裕)だ。長い間、めぐみ(永作博美)からの電話にも出ず、岩倉家に心配をかけてきた悠人がふらりと帰省。さらには衝撃の事実が続々明らかになる。

 悠人の帰省が描かれたのは週の真ん中、水曜日のこと。この日のエピソードでは、突然連絡もなしに東京から大阪へ帰省した悠人が実は大学在学中に株で2000万円も儲け、就職活動では大手のIMORI電機への内定まで出ていたことが発覚する。しかし悠人は、この会社も3年したら辞めるつもりでおり、将来は「指一本動かすだけで億稼げる」投資家を目指しているという。これまで悠人と舞を養い、難しい経営状況を乗り越えてきた浩太(高橋克典)に対しても「地道にコツコツやって、どんな夢をかなえたん?」などと身も蓋もないことを言って空気を悪くしてしまった。幼少期から変わらず、冷めたところのある悠人はなかなか器用に相手の気持ちを思いやれない。しかし決して意地が悪いわけではなく、本音のところでは舞のことを気にかけている。食事の後には舞の部屋に立ち寄り話を聞くなど兄らしい気遣いも見せた。岩倉家の“兄”はそんな、ちょっと不器用だが優秀な兄なのだ。

 昨今の朝ドラといえば、家族に迷惑をかけてしまう“ダメお兄ちゃん”が名物であった。第105作目の『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)ではヒロインの1人である安子(上白石萌音)の兄・算太を濱田岳が演じ、家業を継がずに職を転々とした挙句、金を持って姿をくらますなど散々な迷惑をかけていた。しかし算太は優しく面白い人柄でもあり、濱田の芝居も相まって憎めないキャラクターとなった。第106作の『ちむどんどん』(NHK総合)ではヒロイン・暢子(黒島結菜)の兄・賢秀(竜星涼)が繰り返し問題を起こし、まさに比嘉家の問題児。母親から甘やかされ、何度問題を繰り返しても学ばない姿に視聴者はやきもきさせられた。

 だが、今回の兄・悠人はこうした“ダメお兄ちゃん”とはまた違った路線である。勉強が得意で、東京大学に入学。株で稼いで、就職活動では手堅く内定を獲得。しかしそれでいながら、家族に相談をしない、連絡もしない、驚くような金額を投資で稼ぐなど、心配も尽きないキャラクターなのである。幼少期に両親が舞にかかりきりだったこともあってか、子供らしい素直さや天真爛漫さは見せなかった悠人。青年になってからもどこか達観した様子で、家族にさえ距離を感じる。今の時点ではキャリアの面でも、経済的面でも問題のない悠人だが、今後、歴代のダメ兄のようになってしまうのではないかと思うと、どこかハラハラとしてしまう。

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