高杉真宙は『舞いあがれ！』で再び“トリボーイ”に　初の朝ドラで俳優として飛躍の兆し

　月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』（フジテレビ系）での演技も好評な高杉真宙が、ようやく朝ドラ『舞いあがれ！』（NHK総合）にも姿を見せた。演じるのは、ヒロイン・舞（福原遥）が入学した大学の先輩・刈谷博文。彼は舞にどのような影響を与える存在となっていくのだろうか。

　本作への高杉の登場を“ようやく”と記したが、“早くも”と訂正すべきかもしれない。彼の登場は第4週目からだったわけだが、そもそも福原が演じる成長した舞の登場もこの週からだったのだ。このことから分かるのは、現在の物語の初期段階における非常に重要な人物になり得るということ。なにせ刈谷は、飛行機に魅せられている舞が航空工学を専攻するために進んだ浪速大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」において、2年連続で設計を担当しており、「なにわの天才」と呼ばれている人物なのである。幼少期の舞に多大な影響を与えた“ばんば”こと祖母の祥子（高畑淳子）に続く存在となる可能性だってあるのだ。小学生時代からの仲である梅津貴司（赤楚衛二）や望月久留美（山下美月）のサポートは今後も続くはずだが、“空”を目指す舞にとって、刈谷が彼女を導く役どころであるのは間違いないだろう。それに高杉のハツラツとした演技は、物語の新たな展開にとてもよくマッチしている。

　そんな重要ポジションを担うことになりそうな高杉は、朝ドラへの出演は意外にもこれが初めて。柔和な笑顔と清涼感のある彼の声は朝の時間にピッタリのため、これがもう何度目かのことだと勘違いしていた。朝ドラにはなかなか縁がなかったようであるが、高杉は若くしてすでに10年以上のキャリアを持つ俳優だ。人力飛行機に熱中する若者はすでに演じている。そう、2017年公開の映画『トリガール！』にて高杉は、大学の人力飛行サークル「Team Birdman Trial」の部長を演じているのだ。2度目の“トリボーイ”役という事実に、「なにわバードマン」における刈谷への期待はもちろんのこと、『舞いあがれ！』全体における期待値も上がってくるというものである。

　一方、『PICU』での高杉は、吉沢亮が演じる主人公の幼なじみの大親友・矢野悠太を演じている。忙しく働く救命医であり、主人公の良き理解者だ。つまりこちらの作品でも重要なポジションに就いているのである。お茶の間に顔を見せる高杉の朝と夜との違いに目を向けてみるのも面白いだろう。彼は爽やかな高校生の役から、半グレ、警察音楽隊の一員、果ては宇宙人までも演じてみせる俳優なのだ。さらに現在は、これまた医師を演じる主演映画『いつか、いつも……いつまでも。』が公開中。関水渚や石橋蓮司といった若手からベテランまでを率い、作品の看板を背負っている。『舞いあがれ！』が朝ドラ初出演だとはいえ経験豊富な主役級の俳優として、高杉が扮する刈谷はヒロインを支えていくような存在になっていくのではないだろうか。

　本作の公式ガイド『連続テレビ小説 舞いあがれ！ Part1』（NHK出版）にて高杉は、「舞の人生は波乱万丈です。刈谷が出演する『なにわバードマン』のパートが、彼女にとって『あのころに戻りたいな』と思える場所になったらいいなと思っています」と語っている。ということは、“高杉真宙＝刈谷博文”の登場は舞が大学生時代だけのものになってしまうのかもしれない……が、とにもかくにもいまは“トリボーイ”の一挙手一投足に注目し、高杉が体現する「なにわの天才」ぶりを堪能すべきだ。きっと「なにわバードマン」は舞にとって最高の居場所になるのだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ！』
総合：午前8:00～8:15、（再放送）12:45～13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30～7:45、（再放送）11:00 ～11:15
出演：福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作：桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽：富貴晴美
主題歌：back number 「アイラブユー」
制作統括：熊野律時、管原浩
プロデューサー：上杉忠嗣
演出：田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地：東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供＝NHK