『ベルサイユのばら』が再アニメ化される意義 約50年前から始まっていたメディアミックス

 池田理代子による不朽の名作『ベルサイユのばら』の誕生50周年を記念し、完全新作となる劇場アニメが制作されることが決まった。

 『ベルサイユのばら』(以下、『ベルばら』)は、フランス革命前後のベルサイユを舞台に、由緒ある将軍家の跡取りである男装の麗人オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェと、隣国オーストリアから嫁いできた純真無垢な王妃マリー・アントワネットらの愛と人生を美しく描いた作品。

 1972年から1973年まで『週刊マーガレット』(集英社)にて連載され、2014年からは40年ぶりとなる新エピソードの単行本4巻が刊行に。累計発行部数は2000万部以上を突破する、少女漫画の金字塔だ。

 複数の媒体を組み合わせることで宣伝効果を高める広告戦略を“メディアミックス”という。エンタメ界においては、小説や漫画などのコンテンツを別のメディア(アニメ、映画・ドラマ、舞台、ゲーム、グッズなど)に展開することを意味し、今ではごく当然のように行われている。

 本作はそんなメディアミックスのパイオニアとも言われており、連載終了の翌年、1974年に宝塚歌劇団によって舞台化された。7月15日にNHKで放送された『アナザーストーリーズ「ベルサイユのばら」オスカルになりたかった私たち』にて、その理由が明かされている。なんと、きっかけは『ベルばら』を「宝塚でやってほしい」というファンの一言だったそうだ。

 当時、宝塚60周年記念公演の題材を選定中だった脚本家の植田紳爾がこの要望を聞き入れ、関係者を説得。宝塚が漫画を題材にすること、また見目麗しいキャラクターを実在の人物が演じることにも当初は批判もあったが、実際に幕が開けると連日満員御礼の大盛況。当時の『ベルばら』ブームに火をつけ、1979年のテレビアニメ化、その総集編となる劇場アニメ『ベルサイユのばら 生命あるかぎり愛して』の公開へと続いていく。

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