宮沢りえ、『鎌倉殿の13人』で発揮する天性の愛らしさ りくはただの“悪女”にとどまらない

 第33回までの放送を終えた大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)。現在、北条家を中心とした争いの火種があちらこちらでくすぶっている。主人公の北条義時(小栗旬)は数々の争いに巻き込まれ、初恋の人・八重(新垣結衣)の前で無邪気に魚を頬張っていた面影がないほど暗い表情を見せるようになった。

 そんな義時とは対照的に争いの火種があればあるほど、よりいきいきとした表情を見せるのが義時の継母・りく(宮沢りえ)である。

 宮沢りえが演じるりくは、心にある野心を隠そうとするどころか、誰に対しても感情をストレートに表現する女性。夫である時政(坂東彌十郎)に溺愛されて安泰と満足することなく、おおらかでどっしりと構えた時政をけしかけては、権力を手に入れるために策略を練る。

 三谷幸喜作品なので、これまで描かれてきたような単純な悪女としてりくを存在させることはないとしても、悪女という枠を軽々と飛び越え、したたかで魅力的な女性として強い印象を残している。りくに可愛げがなかったら、作品そのものがもっとドロドロとした暗いエピソードに染まっているのでは? と思わせるほど、りくは野心家でありながら溢れるほどの可愛げを持ち合わせた女性なのだ。

 第12回「亀の前事件」では、出産間近の政子に、りくは源頼朝(大泉洋)の浮気をほのめかす。当然、激怒する政子に、待ってました! とばかりに「都では、高貴なお方が妾を持つのはよくあることです。鎌倉殿が都をまねて妾をつくったのなら、こちらも『後妻打ち』で仕返しをするのです」と持ちかける。

関連記事