『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』で「Main Titles」が響く 血で血を洗う抗争劇
※本稿には『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のネタバレを含みます。
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は第1話の全米初日視聴者数が約1000万人を記録し、晴れてシーズン2への継続が決定した。そしてこの第2話ではオープニングタイトルが復活。3年ぶりにラミン・ジャヴァディによる「Main Titles」が鳴り響く。『ゲーム・オブ・スローンズ』では毎話、からくり仕掛けの地図が各エピソードの地理的位置関係を説明してきたが、ほとんどのストーリーがキングズ・ランディングで展開する『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』では、どろりとした赤い液体が名家の紋章を流れ伝う不穏な映像に置き換わっている。否が応でもこの物語が血で血を洗う抗争劇であることを意識せずにはいられないのだ。
自由都市による略奪行為の被害を受け、海相コアリーズ・ヴェラリオン(スティーヴ・トゥーサント)はヴィセーリス王(パディ・コンシダイン)に軍事行動を進言する。ウェスタロス海軍戦力の大半を所有し、莫大な財力を誇るコアリーズは小評議会でも強い発言権を持つ有力な名家だ。しかしヴィセーリスは戦争行為を避けることこそ王の役目だと言い、首を縦に振らない。正式に王位継承者として認められながら、なおも王の酌取りを任されるレイニラ(ミリー・オールコック)は自らドラゴンで参戦すると進言するが、あえなく退けられる。
第1話と第2話の間はおそらくシリーズ最長であろう半年間の時間が経過しており、『ゲーム・オブ・スローンズ』にはない展開の早さが特徴的だ。次期女王としてレイニラが公に認められるも国威は上がらず、国家を脅かす不安要素は絶えない。宮中ではヴィセーリスの再婚を巡って各陣営の陰謀が進行中だ。このエピソードでは女王という未来を約束されたレイニラが、ウェスタロスを支配する“車輪”に立ち向かうさまが何度も描かれる。
次期キングズガードの選抜を任されたレイニラは踏み台の上から屈強な男たちを見下ろし、政治的駆け引きから選ぶべきだという忠臣たちのアドバイスには耳を貸さず、実戦経験を重視してクリストン・コール(ファビアン・フランケル)を抜擢する。第1話、馬上槍試合でデイモン・ターガリエン(マット・スミス)を下したドーン出身の騎士だ。「実戦を知る者が父上を守るべきよ」と意見を通す彼女は自信に満ち溢れている。