鈴木保奈美×板谷由夏×美村里江が語る、三者三様の家庭の空気感と“理想の母親”について

『家庭教師のトラコ』母親役インタビュー

ーー皆さんからみた橋本愛さんはどんな印象ですか?

鈴木:私はアップダウンがなくて、いつもニュートラルで朗らかで、立派な方だと思っています。

美村:実年齢よりも大人っぽくみえますよね。

鈴木:あと朝スタジオに入ると、違う場所でメイクしているので姿は見えないんですけど「ワハハー!」って明るい笑い声がいつも聞こえてきます(笑)。でも主役が機嫌よく明るくしてくれてるって、とっても大事なことで、別にそうしようと思ってしていらっしゃるわけではないと思いますが、自然と明るくしていてくださるのが心強いし、支えになりますね。

板谷:壁がないですよね、いつもウェルカムで。それが私たちにとってはとても楽ですね。

鈴木:子供たちともすぐ仲良くなっちゃって、誰とでも仲良くなれるし。

美村:あと感情とか出来事とか、バラバラで起きてくる私たちに対するお芝居と、安定して何かずっと先を見越してるトラコちゃん、という対比がしっかりされてますよね。それぞれの演技が自由にアップダウンしても、トラコちゃんのセリフでぐっとこう締まるから、セリフの言い方というか、技みたいなものがすごいなといつも思います。

ーー1番心に残っているエピソードや言葉を教えてください。

美村:第5話で板谷さんがトラコに遺書の書き直しをさせられているシーンが斬新だと思いました。でも確かに、最後だからってついドラマチックに書きすぎたりとか、本心を隠しちゃったりしますよね。それを何とか本当の素直な気持ちを書かせようっていうあの感じがよかったです。私も遺書を書くとしたら添削してほしいです(笑)。

板谷:私自身も、遺書は自分でちゃんと正直に書こうと思った。あれ、本当にいい遺書だと思うんですよ。

ーーいつも本作を観終わったあと、じっくりと冷静に考える時間があります。全体のストーリーとして面白いなと思うことはありますか?

鈴木:“お金の使い方”を正面に持ってきたというのは面白い切り口だなと思いました。日本ではお金のことを語るのってタブーな空気がありますよね。しかも子供のころもちゃんとそういうことを教えられる機会はないと思いますし。この歳になって、やっと税金ってこうなってるんだ、とか、保険ってそういうものなんだ、みたいなに思うことが多くて。未だにわからないことだらけなので、義務教育で教えといてくれればよかったのにって私もここ数年思っていました。なのでこのドラマを通じて小さいお子さんにそういう機会をもってもらえたらいいなと思います。もちろん大人もそうなんですけどね。

板谷:私は台本を読んでいて、脚本の遊川(和彦)さんの中にあるお母さん像をとても感じるので、それを表現できたらいいなと思います。

美村:母というものに対して、すごい期待がありますよね。

板谷:病院のエピソードも、遊川さんご自身がお母さんのお見舞いに行ったときに「よかったね」ってお母さんに言ったら泣き出した実体験があるらしく。「その話を書きたいから、よろしくお願いします」って言われて。そのシーンを演じる直前にその話を熱く語ってくださって、正直プレッシャーでした(笑)。でも母親というのは普遍的なテーマというか、誰しもにお母さんはいるので、そこがキーなのかなと思ってます。

美村:台本を読むと、撒き餌としての毒と、何かこっそり隠した毒があるんですよね。わかりやすくポップに仕立てておきながら、油断してるときにぐっと刺されるみたいな。そういうテンポみたいなものを役者としてどう表現するといいのかなって考えながら演じています。なので、ドラマを観終わったあとに自身を振り返って考えてくださったりしてるのが1番嬉しいです。

プロデューサー・大平太(以下、大平):これからトラコの過去と狙いが明らかになっていきますが、お3方は過去を知ってどう感じましたか?

板谷:すごく「ほっとけない」って感じましたね。

鈴木:私は、もうひとひねりあると思う。トラコ先生のロジックみたいなものは1層だけじゃなくて、彼女のIQ的にもう2層ぐらいひねってるんじゃないか? ……と、勝手に思ってます(笑)。

大平:単にお金だけではないということですよね。そういうふうにおっしゃっていただいて、ハードル上がります(笑)。

美村:私は福多とトラコちゃんの正しいお金の使い方を知りたいです。今は何かちょっとバグを起こしてる方の使い方をしている気がして。2人が報われてるところが見たいかな。

大平:たしかに、お客さんに対しての答えというか、このドラマとしての“正しいお金の使い方”の答えですよね。

鈴木:あとはやっぱり子供たちにとって、受験に合格することが幸せなのか? とか考えますよね。特にうちの守にとっては東大が全てじゃないというか、今やお父さんたちをびっくりさせるために「やってやる!」というものになっていますけど、実際に東大に受かることが本当に幸せなのか、ということも最後見えてくるんじゃないかな。

大平:もちろんあの3人の受験はどうなるのかっていうのは考えています。

鈴木:合格率100%のトラコ先生が初めて100%じゃなくなるかも? どうなんだろう。トラコが目指すものも、3人がどうなるのかもまだわからない。ラストを楽しみにしてます。

■放送情報
『家庭教師のトラコ』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜23:00放送
出演:橋本愛、中村蒼、美村里江、細田佳央太、板谷由夏、鈴木保奈美、加藤柚凪、阿久津慶人
脚本:遊川和彦
チーフプロデューサー:田中宏史、石尾純
プロデューサー:大平太、田上リサ(AX-ON)
演出:伊藤彰記、岩本仁志
制作協力:AX-ON
制作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/torako/ 
公式Twitter:@torako_ntv

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