『耳をすませば』ムーン役の猫“ぽんず”の持つスター性 タレント猫に求められる演技力とは

 「猫ってかわいいけど、犬みたいに芸はしないんじゃない?」と思っている方もいるだろう。しかし、世の中には演技を仕事とする猫がいるのだ。

 10月14日公開の実写映画『耳をすませば』では、ジブリアニメ版でも印象的に描かれた猫のムーンが登場する。ムーンは主人公の雫を「地球屋」へ誘う猫だが、今作でムーンを演じるのは「株式会社グローバル・アニマルアクト」所属のタレント猫・ぽんずだ。

 ぽんずは過去に、映画『ねこあつめの家』や『コーヒーが冷めないうちに』、スズキ自動車「ラパンモール」のCMなどに出演。ふくふくもっちりしている大きな顔が特徴的な茶トラのオス猫だ。茶トラのイエネコは毛色の遺伝子が性別決定の遺伝子に関わっているためオスが多い。またオスの茶トラは甘えん坊な個体が多いのも魅力の1つだが、ぽんず自体は食いしん坊でもあるため、こうした素質がタレント猫として活動するのに役立っている。

 タレント猫として活動するアニマルアクト所属の猫たちには特徴があり、食いしん坊のほか「おっとりとした性格」「好奇心旺盛」「注目されるのが好き」な猫が多い。こうした性格がタレント猫として活動していく中で役立つという。ぽんずは目立ちたがり屋でもあるそうで、「撮影でほかの猫に注目が集まると不機嫌になるフシがあります。いい演技ができると“すごいだろ?”と得意げな表情を見せることも(笑)」と過去のインタビューでアニマルトレーナーが語っている。(※1)

 ぽんずが所属する株式会社グローバル・アニマルアクトは、ぽんずの他に多くの猫や犬、馬や鳥、爬虫類など多種多様な動物がタレントとして所属している。ぽんずも出演している2019年公開の映画『ねことじいちゃん』で主役猫を演じたベーコンも、ぽんずと同じくアニマルアクト所属の猫なのだ。同作は撮影前に猫のオーディションが行われ、100匹の猫が参加。そんな中でベーコンは動物写真家であり本作の監督を務めた岩合光昭の目に留まり、見事主役に抜擢されている。撮影時は他の共演猫が自由気ままに振る舞う中、ベーコンが堂々と演技を続け存在感を発揮していたことが現場で注目を集めた。

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