『新・信長公記』西畑大吾、人たらしの豊臣秀吉に見事なハマりぶり 新たな芝居の引き出しも

『新・信長公記』で引き出しを増やす西畑大吾

 やはり、秀吉(西畑大吾)は天性の人たらしだった。喧嘩の強さが勝利の鍵を握ると思われていた旗印戦(=銀杏高校でいちばん強い人物を決める戦い)も、彼の手にかかれば“奥深い心理ゲーム”になってしまう。『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ系/以下『新・信長公記』)第2話は、お茶の名称当てに早打ち将棋と、新しい旗印戦が繰り広げられた。

 前回までは、みやび(山田杏奈)に擦り寄る子犬のような愛らしさを見せていた秀吉。そんな彼の本性が、こんなにも卑怯な人物だったなんて……。さすがは、「自分を大きく見せるのに長けていた」と言われる豊臣秀吉のクローン高校生である。

 小柄で力も弱い秀吉は、これまでも“頭脳”を頼りに生きてきたのだろう。やはり、有能なメンバーが集結した特進クラスのなかでも、悪知恵が群を抜いている。ただ、悪びれもなく他人の手柄を横取りして、「卑怯で結構! 勝てば官軍!」なんてルンルンしているのだから、鼻につく存在なのは間違いない。

 特進クラスのメンバーを煽りまくった秀吉は、ついに旗印戦を挑まれることになる。旗印を提出したのは、虎を退治したという伝説を持つ強い男・加藤(須賀健太)。歴史上では、加藤清正は秀吉と再従兄弟だったと言われている。

 正直なところ、筆者はここで諦めてしまった。こんなに周囲を挑発してしまったのだから、救ってくれる仲間はいないだろう……と。だが、秀吉は想像の上をいく“人たらし”だった。「お前のコスプレのファンで、楽しみにしてんねん!」と伊達(三浦翔平)に擦り寄り、心を開いたところで、「俺と組まへんか?」と話を持ちかける。 

 さすがは、信長の草履を懐で温めていた……という逸話を持つ秀吉。人の心に、スッと入り込む力に長けている。その後も、前田(野村康太)と毛利(片岡久道)を味方につけた秀吉は、旗印戦を優位な方向で進めていく。恐るべし、秀吉……というわけだ。

 ただ、秀吉は“卑怯”のままでは終わらない。本当にほしいものは、小賢しい計算では手に入らないことを、彼は知っているのだろう。1570年に起きた金ヶ崎の戦いで、全滅寸前になっても諦めずに戦い続けたことが、大出世の礎になったように。加藤を前にして、秀吉は負け戦に挑んだ。どんなに殴られても、立ち上がり、決して諦めない。まるで、幼少期から数々の友人を裏切ってしまった自分と、決別するように。

 その姿が、加藤のみならず、銀杏高校の生徒たちの心を惹きつけていく。秀吉は、本当は卑怯者なんかではない。まっすぐな人間なんだ……と思ってしまった私たちは、すでに彼の手のひらで転がされているのだろうか。

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