道枝駿佑の“5代目金田一”は愛嬌抜群だった 『金田一少年の事件簿』続編希望の最終回

道枝駿佑の“5代目金田一”シリーズ化希望

 オペラ座館の劇場地下に広がる空間で、闇のなかに引き摺り込まれた一(道枝駿佑)。それは行方がわからなくなっていた剣持(沢村一樹)で、美雪(上白石萌歌)や佐木(岩崎大昇)も安堵に包まれる。その頃、劇団員の城(増田昇太)の部屋からファントムの仮面が見つかり、城は白神(戸塚純貴)の提案によって劇場に鍵をかけてこもり、他の面々が交代でその鍵を見張ることに。しかしその夜、城に食事を持って行った一たちは、密室と化していたはずの劇場内で城が殺されているのを発見するのである。

 7月3日に放送された『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系/以下『金田一』)は最終回。前週に引き続き、『金田一少年の事件簿 File28 オペラ座館・第三の殺人』を原作とした「File.07 オペラ座館 ファントムの殺人」の解決編が描かれる。第6話・第7話で描かれた「金田一少年の殺人」と同様、前編のラストで一に何らかの危機が訪れると視聴者に思わせた上で後編へと繋ぐ方法がとられたわけだが、それはいかにも次のエピソードへ興味を持続させようとする近年の連続ドラマらしい。もっともそれは原作を未読の視聴者にしか効果はないのだが、原作から長いスパンが経過している(『オペラ座館・第三の殺人』は2005年なので17年も経っているではないか!)ことを踏まえれば充分納得できることであり、改めて本作の最大のテーマである“世代交代”を痛感してしまう。

 こうした後編への繋ぎ方に導くため、この「ファントムの殺人」では原作からの描写の逆転が一部取り入れられていた。それは一たちが劇場の地下空間を発見するタイミングだ。原作では城が殺されているのを発見した流れでそれを見つけるのだが、ドラマ版では前編のラストでその存在を知った上で、後編の序盤に城の事件が起こるのである。第2話・第3話の「聖恋島殺人事件」で見られた事件の発生順を大きく転換させるような大胆なものではないにしろ、この些細な変更はこれが“映像”であることの意味を強めるものになったのではないだろうか。

 原作では城の死体を見た一が「密室殺人」だと心の中で唱え、地下空間に外部からの侵入経路や誰かが潜んでいた形跡がないかを確認するさまが、一の独り言として描写されていた。漫画ではさほど違和感はないが、ドラマでこれをそのままやってしまったらかなり浮いたものになりかねない。しかしドラマ版ではあくまでも密室の確認ではない状況下で、地下空間に誰もいないこと、そして(その奥で剣持と再会する)扉に鍵がかかっていて外部から侵入はできないことが示されたことで、その映像的な不自然さを事前に回避することに成功する。同時に一が直後のシーンでこれが「密室殺人」だと他の登場人物にセリフで簡潔に伝えることを可能にするわけだ。

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