渡辺直美主演ミュージカル『ヘアスプレー』が復活 映画版で60年代ファッションを予習!

 2022年9月に公演予定の、渡辺直美主演日本版ミュージカル『ヘアスプレー』。本来は2020年7月に上演予定だったものが、新型コロナウイルスの影響によって中止されてしまったのだが、今年やっと復活公演を果たす。復活公演を祝い、一足先にこの楽しいミュージカルを映画版でおさらいしてみよう。特に、目に楽しい60年代のファッションに注目したい。

 『ヘアスプレー』の舞台となるのは、1962年のアメリカ東部の街、ボルチモア。そこで暮らす、ぽっちゃり体型でダンスとお洒落が大好きなトレイシーが、大ファンであるダンス番組出演を目指していく。

 60年代のファッションと言えば、ビビッドな花柄、エミリオ・プッチを代表とするカラフルなジオメトリック柄、イヴ・サンローランのモンドリアンルック、ビニールやスパンコールで魅せるフューチャリスティックデザインなど、いくつかの大きなトレンドがある。とはいえ映画の設定は1962年なので、ファッションは全体的にまだ50年代の匂いが残っている。女性は皆フェミニンな印象の強いAラインのワンピースや、回ると丸く広がるサーキュラースカート、ワンピースでなくてもウエストをしっかり絞りマークするシルエットのスカート姿が多く、映画にも多く登場し、渡辺直美が公開されているメインビジュアルで着ている水玉柄も、50年代からの流行だ。

 主人公トレイシー(ニッキー・ブロンスキー)は高校生なのでお洒落にお金はかけられないながらも、白の半袖シャツにチェックの膝丈スカートという、自分なりのお洒落スタイルで登場する。襟にきちんと白いボウタイを結び、仕上げをするところが可愛い。渡辺直美の同じ恰好の画像も、そのまんま! なので彼女の他の衣装も楽しみだ。

『ヘアスプレー』Everett Collection/アフロ

 そして何より60年代を象徴しているのが、トレイシーもこだわっている、ふくらませるだけふくらます、盛りに盛るヘアスタイル。頭頂部も後頭部もふくらませて外ハネにしたヘアとヘアバンドは、この時代の一大トレンド。このビッグ・ヘアをキープするために欠かせないのが“ヘアスプレー”なのだ。

 冒頭、トレーシーが「グッド・モーニング・ボルチモア」を歌いながら登校する時にすれ違う様々な女性たちのファッションが、まさに60年代、というものばかりなのでファッション好きにはたまらない。全身イエローやピンクなどのカラフルなコート、しかも肘よりちょい下くらいでカットされたり折られている、五分丈、七分丈くらいの袖丈は、50~60年代頃の象徴的なデザインだ。ワンピースなら、襟や袖口に白や同系色のパイピングがあることも多い。トレイシーがハマっているダンス番組、『コーニー・コリンズ・ショー』のレギュラーメンバーたちのダンスシーンもかなり目に楽しい。女性は皆Aラインのワンピやドレス。細かい花柄、大きいストライプなど、無地より柄モノ多めなところがこの時代っぽい。

『ヘアスプレー』Everett Collection/アフロ

 ちなみに男性陣のファッションは、ベースはシングルボタンのスーツとタイだけれど、オールバックに固めるヘアスタイルや、ザック・エフロン演じるリンクが日常で着ている開衿シャツにはロカビリーの匂いが漂う。黒人の男の子、シーウィード(イライジャ・ケリー)の縦ストライプシャツもお洒落。

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