『メイドインアビス』が名作な理由 音楽でアビスを表現するケビン・ペンキンの劇伴に注目

 本作の劇伴にはオーケストラなどのクラシック楽器に加え、シンセサイザーの機械的な音色も使用されている。相反する音色をうまく組み合わせることで、アビスの広大な自然の美しさやストーリーが持つ暗い一面、リコと旅するロボット・レグの存在などが楽曲として表現されているように思う。またペンキンはインタビューで、「(サウンドトラックの)『Made in Abyss』は降下する弦楽器のパッセージ、『Depths of the Abyss』は楽曲のキーがゆっくりと上昇することで作中のメタファーとしている」と語っており、リコとレグがアビスを降下して行く物語の流れと、アビスを上昇することで受ける呪いという作品テーマを理解した上で楽曲制作していることが分かる。

 原作コミックが描く『メイドインアビス』という作品の世界観を、手抜きのない背景作画と深い理解力を持って制作されている劇伴がアニメ化の成功を後押ししている。メインストーリーにショッキングな内容が散見され、話題にされるポイントの1つにもなっているが、アビスの広大で美しい自然の描かれ方と情熱を持って奏でられている音楽にも是非注目して鑑賞してほしい。

参照

https://www.kpenkmusic.com/biography
https://www.lisani.jp/0000061495/?show_more=1
https://www.animenewsnetwork.com/feature/2017-10-04/interview-made-in-abyss-composer-kevin-penkin/.122246

■放送情報
『メイドインアビス 烈日の黄金郷』
TOKYO MXほかにて、7月6日(水)より放送
原作:つくしあきひと(竹書房『WEBコミックガンマ』)
監督:小島正幸
副監督:垪和等
シリーズ構成・脚本:倉田英之
出演:富田美憂、伊瀬茉莉也、井澤詩織、原奈津子、久野美咲、寺崎裕香、平田広明、斎賀みつき、後藤ヒロキ、市ノ瀬加那、斉藤貴美子、竹内良太、水瀬いのり、森川智之
キャラクターデザイン:黄瀬和哉(Production I.G)、黒田結花
デザインリーダー:高倉武史
プロップデザイン:沙倉拓実
美術監督:増山修、関口輝(インスパイアード)
色彩設計:山下宮緒
撮影監督:江間常高(T2スタジオ)
編集:黒澤雅之
音響監督:山田陽
音響効果:野口透
音楽:Kevin Penkin
音楽プロデューサー:飯島弘光
音楽制作:IRMA LA DOUCE
音楽制作協力:KADOKAWA
アニメーション制作:キネマシトラス
(c)つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会
公式サイト:http://miabyss.com/
公式Twitter:@miabyss_anime

関連記事