『マイファミリー』那須雄登、「自分をなくして役になりきりたい」 櫻井翔からエールも
その怖さにどう立ち向かえるか
――今までで印象に残っているシーンを教えてください。
那須:第1話で、犯人に電話で誘導された鳴沢夫妻が(車から)ベビーカーを出すシーンがあるんですけど、そのベビーカーを温人が開けないっていう。あの描写に、温人が今までお仕事を優先してきたんだろうな、というものがぎゅっと詰まっていて、めちゃめちゃリアルだなと思いました。
――細かなところまで、すべてご覧になっているんですね。
那須:この作品には(役者の)教科書みたいなすごい方が集まっているので、各話を何周もしています。
――たとえば、役者さんの表情に惹き込まれるような場面はありましたか?
那須:第1話の賀来さん(三輪)と濱田さん(東堂)が多部さん(未知留)と対面するシーンで、未知留が「お金を貸してほしい」という話をしたときに、最初は「冗談だろ」みたいに学生時代からのノリでわちゃわちゃしていたけれど、未知留の真剣な表情から何かを感じ取った三輪が一瞬で深刻な状況を把握する。あの瞬間の賀来さんのお芝居がすごく好きで、そのシーンは何回も何回も繰り返し観ました。
――自分にインプットするような感覚?
那須:そうですね。本当に、もう盗むしかないと思っているので。
――現場に居るときも、常に「盗みたい」というお気持ちで?
那須:自分が映っていないシーンのときにも、モニターのところに行ってちょっと見させていただいたりしています。実際に見て、その場の空気感を盗みたいなと。素晴らしいお芝居をされる方々ばかりなので、すごく勉強になりますし、本当にありがたいです。
――演じる梅木をどのような人物と捉えていますか?
那須:梅木は仕事への熱量はあるんですけど、どこか空回りしちゃって、若干空気が読めないところもあって、“今どきの若い男子”の雰囲気が満載な気がします。喋り方も「~ですね」ではなく「~っすね」だったり、節々に今どきの男子感が出てるかなと思います。
――役作りのプロセスについても聞かせてください。
那須:まず最初にセリフを暗記して、その後に状況を考えたり、「梅木はこういう気持ちなんだろうな」と想像したりして、それをちょこっと台本に書き込みます。それができたら、家でボソボソッと声を出しながら練習する、という感じでやっています。
――現場には、どの程度キャラクターを作っていく?
那須:僕は作り込みで7割ぐらい、現場で3割くらいだったんです。でも、その割合について今すごく悩んでいて。それこそ、この現場に入ってみなさんのお芝居を見ていて、現場で役作りをする割合を増やしたいなと思うようになりました。そのためにも、現場でのコミュニケーションをもっと大事にしたい、というのが芝居をする上で今一番の課題です。
――作らずにいくというのは、ちょっと怖さもありますよね。
那須:そうなんですよね。その怖さにどう立ち向かえるかが勝負かなと思っています。
「頑張らなきゃいけない節目の年」
――アイドルと俳優ではアプローチの仕方が異なると思いますが、役者にとって大切なことはなんだと思いますか?
那須:いろいろな方がいらっしゃると思うけど、僕は“自分”をなくして役になりきることが大切なのかなと思っています。二宮くんとかは、特にそうだと思うんですよね。お芝居しているんじゃなくて、そこに居るのは温人でしかない。そんなふうに、その瞬間、自分が消えるくらい役に入り込めたらいいなと思います。
――アイドルとしてキラキラしている二宮さんとは、やっぱり違いますか?
那須:違いますね。もちろん現場でも、ふだんはめちゃくちゃかっこいいんですけど、お芝居中は二宮くんが居なくなっちゃいますから。
――お芝居の機会が増えている中、どんなところに役者の面白さを感じていますか?
那須:ずっとお芝居については悩みっ放しなんですけど、それでもちょっとの手応えを感じるときがあって。「ここ、ちょっとうまくイケたかな」と思えることがすごく嬉しいんです。自分のお芝居が、少しでも作品を彩れていたらいいなと思っているので。それに、オンエアを観ると課題はもちろん感じるけど、作品に出られていること自体が嬉しいなと思います。
――SNSには、「豪華キャストの中に那須くんがいることが嬉しい」といったファンからの声もたくさんあがっています。
那須:ファンのみなさんには“僕”としてではなく、ぜひ“梅木”として見てほしいなと思うし、作品がとても面白いので、本当に隅々まで見て楽しんでほしいです。今年は20歳になって、頑張らなきゃいけない節目の年。この作品を経て、一皮むけた自分を見せられたらいいなと思っています。
■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、凛美、山崎莉里那、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、蓮佛美沙子、森脇英理子、珠城りょう、濱田岳、玉木宏
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
スーパーバイジングプロデューサー:那須田淳
協力プロデューサー:大形美佑葵
製作著作:TBS
(c)TBS