『ベター・コール・ソウル』これまでと様子が違うS6 マイクの贖罪が最後の見どころに?
では、我らがソウル・グッドマンことジミー・マッギルは何をしているのか? キム主導のもと仇敵ハワードの破滅計画を着々と進行中だ。彼らの駒として利用されるのは……懐かしやケトルマン夫妻である。忘れた頃に思いがけない人々が再登場するのもヴィンス・ギリガン組の語りの魅力。思い出してほしい。シーズン1第1話に登場して以後、横領罪でジミー達を悩ませたあの夫婦だ。一時は事務所開設金欲しさに夫妻からの賄賂を受け取ってしまったジミーだが、“正しいこと”をするために横領金を返還し、ケトルマン氏(ジェレミー・シェイモス)はキムの手引によって16カ月の実刑判決を受ける事となった。その後、夫妻はアルバカーキの町外れで税理士事務所を構えていたのだ。駐車場には『ブレイキング・バッド』でソウル・グッドマン事務所の屋上に設置されていた自由の女神バルーンがぶらぶらと揺れている(一体どんな経緯であそこに行くんだ?)。
かつて横領に手を染め、今は還付金着服に手を染めるケトルマン夫妻はウォルター&スカイラーの小市民マイナーチェンジ版である。そんな彼らをジミーとキムは“アメとムチ”戦法で籠絡していく。かつて賄賂を返した自分の甘さを悔やみ、「あの時オレを止めたものは二度とオレを止められない」と口にしたジミーは、今や慣れた手口で夫妻をなだめすかしていく。しかし、ここでは飴がジミーで鞭はキムだ。相変わらず利己的で小狡いケトルマン夫妻をキムは冷酷に恫喝し、ドン底に叩き落とす。ここには嘘と無銭飲食という小さな悪事に心躍らせた彼女の姿はもはやない。そんな彼らの後ろを追う1台の車の影……それが逃れられない運命を告げる相手であることは言うまでもないだろう。
■配信情報
『ベター・コール・ソウル』シーズン6
Netflixにて配信中