『バブル』『SPY×FAMILY』『王様ランキング』 独特の表現技法で躍進するWIT STUDIO

 4月から放送開始された遠藤達哉の漫画原作のTVアニメ『SPY×FAMILY』が、国内外のアニメファンの間で大きな話題となっている。初回放送時から早くも原作の魅力を存分に引き出し、完成度の高い映像を披露している。

 本作のアニメ制作を手掛けたスタジオは、WIT STUDIOとCloverWorksだ。どちらもここ数年話題作を数多く手がけ、アニメファンから信頼の置かれるスタジオだが、とりわけ昨年から今年にかけてWIT STUDIOの存在感は一段と大きくなっている。昨年から今年にかけて放送された『王様ランキング』はアニメファンを驚かせ、大型オリジナルアニメ映画『バブル』の公開も控えている。

 今年で設立10周年を迎える同スタジオは今飛躍の時を迎えている。改めてWIT STUDIOとはどんなスタジオなのかを紹介したい。

ファンを納得させた『進撃の巨人』衝撃のPV

TVアニメ「進撃の巨人」PV

 2012年、Production I.Gから独立する形で設立されたWIT STUDIOが、最初に手掛けた作品は『進撃の巨人』だ。アニメ化前から高い評価を獲得していた原作漫画は、映像化のハードルは高いだろうと言われていた。それは、作中に登場する立体機動装置を駆使した空中戦をどれだけ迫力出せるのかということだったのだが、WIT STUDIOはそんな懸念を、一本のPVで払拭してみせた。

 本放送も大きな評判を勝ち取り、WIT STUDIOは最初の作品でアニメファンの信頼をがっちりつかんだ。以降、アクション描写はWIT STUDIOの代名詞と言えるものとなった。それを支えるのは、同シリーズの監督を務め、後にオリジナルアニメ『甲鉄城のカバネリ』、そして、公開間近の『バブル』の監督を務めた荒木哲郎だ。彼の設計するアクションシーンは爽快感と迫力、華麗さが同居しており、画面の外に広がる世界を意識させ、爽快な飛翔感を与えてくれる。最新作の『バブル』では、パルクールを参照した肉体アクションを抜群のカメラワークと運動の設計で、目を見張らせる。

 荒木監督のビジョンを具現化する浅野恭司や門脇聡といった名アニメーターの存在ももちろん重要だ。激しいカメラワークで作画を誤魔化すようなことはせず、縦横無尽にダイナミックに躍動するキャラクターたちの一つひとつの複雑なアクションをきっちりと見せてくれる。

アクション以外の良作も多数

 WIT STUDIOはアクション主体の作品以外にも多くの良作を手掛けている。ヤマザキコレ原作の『魔法使いの嫁』や『恋は雨上がりのように』など、現代・異世界を問わず恋愛ストーリーも丁寧に描き、同社初のオリジナルアニメ『ローリング☆ガールズ』ではコミカルな珍道中を、『鬼灯の冷徹(WIT STUDIOは1期のみ担当)』では地獄を舞台にした一風変わったコメディを制作。オリジナルSFアニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』では切ないエモーションとアクションを全面に展開してみせた。その他、『ヴィンランド・サガ』や『GREAT PRETENDER』など話題作を数多く持つ。

 いわゆる深夜アニメが主戦場ではあるが、OLMと共同でキッズ向けのアニメ『けだまのゴンじろー』なども制作しており、その作風は幅広い。しかし、どの作品も一定水準以上の質を保ち続け、一作ごとに丁寧に取り組んでいることがうかがえる。

 また、アニメ表現を進化させるための開発にも積極的だ。『甲鉄城のカバネリ』では、アニメキャラクターに化粧をする「メイクアップアニメーター」という役職を誕生させ、キャラクターたちに色艶を加えて従来のセルアニメにはない質感の表現に挑戦している。通常の特殊効果の役職と異なり、動画や仕上げの段階から手を入れていく新たな役職だそうで、アニメ映像の情報量を飛躍的に高めることに成功している。

「甲鉄城のカバネリ」PV第三弾_2016.03.17解禁

 『Vivy -Fluorite Eye's Song-』でも、主人公のヴィヴィのクローズアップを美しく処理したり(目のクローズアップに注目してほしい)、最新作の『バブル』でもそれらの経験と活かした美麗な映像が堪能でき、このスタジオ独特の表現技法と言っていいだろう。

オリジナルテレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」第1弾PV

関連記事