『未来への10カウント』木村拓哉の“影と光”が存分に詰まった第1話 王道ドラマの始まり

 木村拓哉が主演を務める連続ドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)が4月14日よりスタートした。

 今作の脚本を務めるのは、『HERO』(フジテレビ系)シリーズや『CHANGE』(フジテレビ系)で、木村とタッグを組んできた福田靖。『HERO』であれば検事、『CHANGE』なら総理大臣、また『未来への10カウント』と同枠で放送されていた『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)であればボディーガードと様々な役柄を演じてきた木村だが、今回本格的に挑戦するのは意外にもこれが初となるボクシングのコーチである。

 木村が演じるのは、高校時代にボクシングで4冠を達成したのち、30年近くの時を経て母校の部活のコーチに就任する桐沢祥吾。大学時代に網膜剥離でボクシングを断念し、最愛の妻・史織(波瑠)を亡くしている桐沢は、「いつ死んでもいい」と生きることを諦めてしまっている人物だ。この『未来への10カウント』の制作が発表された際に、木村自身が「ここまで物語のスタート時点で腐っている人間は、これまで演じたキャラクターの中でもまれに見る存在」とコメント(※)しているように、ドラマの冒頭から危ういオーラを漂わせている。

 喋り方はボソボソ声、ため息を吐いては、ポケットに手を突っ込んでは足を擦って歩く。そんな腐った態度は28年ぶりにリングに上がっても変わることはない。桐沢とボクシング部で苦楽をともにした仲で、彼を母校・松葉台高校のコーチに就任させるよう仕向ける甲斐誠一郎(安田顕)が檄を飛ばすことで闘争心に火がつくものの、桐沢の脳裏には医者からの選手引退の宣告、生前の妻の最期がフラッシュバックする。

 生きる希望を失った桐沢を変えていくのは、部長・伊庭海斗(高橋海人)をはじめとするボクシング部員たちだ。第1話のクライマックスと言える公開スパーリングでは、桐沢のボディーブローが伊庭の腹部へと炸裂する。伊庭の大振りのパンチをスウェーで避け続けていた桐沢だったが、ロープに押し出された反動から繰り出されるのが伊庭の肋骨にヒビを入れることとなる豪快なパンチである。スローモーションで流れていく一瞬のシーンだが、桐沢の目にははっきりと光が宿っているのが分かる。

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