『科捜研の女』最終回でマリコは何を伝える? 沢口靖子、内藤剛志らが語る思い出の名場面

 『科捜研の女 season21』(テレビ朝日系)が4月7日に最終回を迎える。

 京都府警科学捜査研究所(通称・科捜研)の法医研究員・榊マリコ(沢口靖子)を中心とした、ひと癖もふた癖もある研究員たちが、法医、物理、化学、文書鑑定などの専門技術を武器に事件の真相解明に挑む姿を描く本シリーズ。1999年のスタート時から根強い人気を誇り、現行のテレビドラマでは最も長く続いている長寿シリーズとなる。

 そんな本シリーズを支える沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、風間トオル、斉藤暁、渡部秀、山本ひかる、石井一彰の主要キャスト8名に、今シーズンを振り返っての感想や『科捜研』チームへの想いを聞いた。


「今シーズンでは、メンバーの団結力を特に強く感じました」

――最終回の放送を控えた今のお気持ちはいかがですか?

沢口靖子(以下、沢口):23年分の思いを込めて、特別な思いで取り組ませていただきましたので、ひとりでも多くの方に観ていただけたら嬉しいな、という気持ちです。

――みなさんにとって、今シーズンで印象的だったこと、思い入れのあるシーン、グッときたセリフなど、お聞かせいただけますでしょうか?

内藤剛志(以下、内藤):じゃあ、今日は俺から喋りますよ!

沢口:お願いします(笑)。

内藤:映画からのつながりで、第1話にマリコの前夫である(倉橋拓也役の)渡辺いっけいが出てくれて。やっちゃん(沢口靖子)は出ていないシーンでしたが、いっけいとは「ひとりの女性を大事に思う男としてやろうね」と話しました。僕(土門)は愛とか恋とかはなくて、彼(倉橋)は結婚していたので立場は違うけど、ひとりの女性を大事に思う男2人としてやった。これは印象的でしたね。映画のアンサーになっていた気がしますし、連動していておもしろいんじゃないかとも思っています。

沢口:私も内藤さんに近いのですが、屋上でいっけいさん演じる元夫と土門さんと3人の会話がありまして。そのシーンがとても印象的でした。マリコというのは仕事人間なのですが、元夫との友情関係が良いかたちで続いていて、そんな一面も表現できたことが私としては印象に残っています。

――シリーズが続いてきたからこその関係性ですよね。他のみなさんはいかがですか?

風間トオル(以下、風間):科捜研の団結力ですかね。みんな科学が好きで科捜研に入っているわけですが、毎回マリコが突っ走ることで状況がどんどん変わっていってしまう。それでも、科捜研のみんなが朝早くから「心配だから」と来てみたり、誰に言われるわけでもなく自然と集まって「どうしたかな?」と思い合っているようなシーンもあったりして。今シーズンでは、メンバーの団結力を特に強く感じました。あとは宇佐見の母親が、俺(宇佐見)が朝早く出て行ったりするのを見て「まだマリコのことが好きなんじゃないか」と、なんとなく尋ねてくるんです。10年くらいずーっと尋ねられていて、今回も尋ねられたなっていうのがありますね(笑)。

若村麻由美(以下、若村):映画から始まった今シーズンでは「科学は嘘をつかない」と真摯に立ち向かうマリコが、科捜研だけでなく、風丘早月もそうですし、刑事の人たちもそうですし、本当にありとあらゆる心を動かしてきたんだなとつくづく感じましたね。マリコさん自体は若い頃から結構変わってきて、大人な感じに成長しているんですけど(笑)、科学に対する思いはブレずにある。そこにみんなが共感して、所長以下振り回されながら真実を追究していくのが毎回爽快だなと。風丘早月は部外者なんですけど、私自身はどこか半分、科捜研のような気持ちでいるんですね。だから、「科捜研メンバーの方どうぞ」と言われた時に風丘早月が入っていないと、ちょっと寂しく感じるようになってしまいました(笑)。

山本ひかる(以下、山本):私はグッときたセリフなんですけど、今シーズンの第6話に“山田村”という村の伝説を科学で解明するお話があって。物語の最後にある土門さんとマリコさんのやりとりで、マリコさんが「科学を知らないからこそ、見えるものがあるのね」と言ったあとに、土門さんが返した「だが伝説を証明し、あの村を守ったのは科学の力だ」という言葉にグッときました。

――「科学の力」という言葉が響くのは、科捜研ならではかもしれないですね。

渡部秀(以下、渡部):劇場版もそうですし、今回のシーズンを通してもそうなんですけど、ウイルス学について触れるというのが科捜研の新しいスタイルだなと感じました。最初に台本を開いた時には驚いたし、“このご時世ならではのテーマに向き合っていく科捜研チーム”というところに、新しい問題に常に挑み続ける科捜研の良さが出ているなって。すごくいい経験になりましたし、役者としても深く考えるいいきっかけになりました。

石井一彰(以下、石井):これから放送される最終回に、一人ひとりがマリコさんに対する思いをマリコさんに話すシーンがあるんです。僕の場合は、マリコさんと土門さんに対してこちらの思いを伝えるんですけど、今シーズンをやりながら「ここはどう面白くできるだろう」とか、色々考えてきたことがそこで報われた気がして。そういうシーンを作っていただけたことが、ありがたかったですね。

斉藤暁(以下、斉藤):手前味噌ですが、僕は昔やった偽札を私(日野)が見破る話がとても好きなんです(『科捜研の女 Season11』第7話/2011年)。科捜研の仕事は縁の下の力持ちで、以前はセットの裏にも「科捜研は縁の下の力持ち」という文字があったんですよ。マリコだけは外にシャーッと出て行っちゃって、私はいつも大変な被害を被ってるわけですが(笑)、本来、科捜研は地味な仕事。その時は、偽札を調べて、真相を突き止めるまでずーっと顕微鏡を覗きながらセリフを話して。監督がカットを割らずにワンシーンでやってくれて、それは科捜研の真骨頂だと思いましたね。役者って目立つのが大好きだけど、科捜研は目立っちゃだめ。だから、僕は科捜研には就職しないだろうな。

一同:(笑)。

――先ほど、若村さんから「科捜研メンバーに入れない寂しさ」というお話もありましたが、シーズン21では、マリコが風丘先生になるシーンも印象的でした。

沢口:演じていて、気持ちがよかったです。とっても元気よく、「まいど~」と言いながら入っていって。この間のシーンにはなかったのですが、今度はみんなにお菓子を配って、私もお菓子が食べたいです。

内藤:僕は一回もお菓子を食べたことがないんですよ。「まいど~」のシーンには絶対にいないので。だから僕も、お菓子が食べたいです。

沢口:あははは。でも、大福は食べてますよね?

内藤:いやいや、あれは同じ枠だけど違う番組(『警視庁・捜査一課長』)だから(笑)。生「まいど」を聞いたことがないので、それを聞くのが夢でございます。それに俺、大福も食ってないからね?

沢口:あれは持って行くだけなんですね(笑)。

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