『科捜研の女』なぜ長寿番組に? 科学捜査 × 高いドラマ性が織り成す新鮮なストーリー
テレビ朝日系の「木曜ミステリー」枠で放映中の『科捜研の女』の正月スペシャルが、本日1月3日の21時より放送される。今期の放映で第15シリーズを迎えるこの長寿ドラマは、なぜいまも人気が衰えないのか。その面白さの謎に、今回はせまってみたい。
『科捜研の女』は、科学で犯罪を解決するサスペンスドラマだ。京都府警科学捜査研究所の研究員・榊マリコ(沢口靖子)が、仲間と協力しながら、事件現場に残された証拠を検証し、真実を解き明かすストーリーが毎回繰り広げられる。
本作品の面白さとしてまず上げられるのは、毎回、科捜研で行われる鑑定や実験の数々だ。
たとえば、今シーズンの第1話では、銃弾の線条痕(せんじょうこん)のゆがみ率を割り出す実験が行われる。殺人現場で発見された銃弾は極度にゆがんでおり、線条痕が鑑定できずにいた。そんなとき、現場で使われたのと同じタイプの拳銃が用いられた過去の発砲事件のデータを持ち込まれる。それを見たマリコは、銃弾のゆがみ率をデータと比較することを思いつき、科捜研は、事件と同じ状況で銃弾をつぶす実験を実地する。
指紋鑑定や筆跡鑑定など、よく知られる鑑定もきちんと抑えている本作だが、それに加えて、最近は「こんな鑑定があるのか」「科学技術でこんなことまでわかるのか」と驚かされることが非常に多く、まさに科学捜査の面白さ、興味深さを味わえる作品となっている。
そして、もう一つ上げられる『科捜研の女』の魅力、それは、登場するキャラクターたちと、その関係性である。
沢口靖子の当たり役といわれる主人公の榊マリコ。初期は明るいキャラクターだったが、現在は、行動力がありつつも冷静でシリアスな女性となっている。そして、この主人公の変化とともに、作品がよりシャープな科学捜査ミステリーへ進化を遂げたように、筆者は感じている。
また、マリコとともに事件に立ち向かう脇役も、味のある面々ばかりだ。
まず、科捜研の所長・日野和正(斉藤暁)。人柄のよさゆえに、部下からぞんざいに扱われがちだが、ここぞという場面では研究員たちをきっちりまとめている。日野所長の「マリコくん」のセリフは、温かみとプロの緊張感が感じられ、いつ聞いても心地がよい。
ほかの研究員たちも、マリコを冷静にサポートする中堅・宇佐見裕也(風間トオル)、やんちゃで明るいムードメーカー的存在の相馬涼(長田成哉)、言葉使いが独特でマイペースな“不思議ちゃん”だが、コンピュータ技術に人一倍長けた涌田亜美(山本ひかる)と、個性の違うメンバーがそろっている。ちなみに、最近のシリーズでは、若手の相馬と亜美が、漫才のようなやりとりでよく笑わせてくれる。
医大の法医学教室の教授であり、遺体解剖を担当する風丘早月(若村麻由美)も、作品に欠かせないキャラクターだ。持ち前の明るさでマリコを支えるよき友人であり、また、科捜研を訪れる際は差し入れを欠かさず、お菓子を片手に彼女が現れる場面は、ドラマのお約束のシーンとなっている。