沢口靖子は“ご長寿アニメキャラ”のよう? 『科捜研の女』シリーズ長期化支えるマリコの変化
現在、シリーズ第18弾を放送中の人気ドラマ『科捜研の女 season18』(テレビ朝日系)。1999年のスタートから現在まで続く同作の根強い人気を支えているのは、他でもない、主人公で京都府警科学捜査研究所の法医研究員・榊マリコを演じる沢口靖子だろう。
沢口靖子の女優としての評価には、どうしても「棒読み」「無表情」という意見がいつも挙げられる。だが、榊マリコを、もし他の女優が演じていたら、こんなにもキュートで魅力的なキャラクターは生まれなかっただろう。榊マリコは、そのまんま沢口靖子の素材としての魅力が存分に詰まったキャラクターだからだ。
沢口靖子の連ドラデビューは、朝ドラ『澪つくし』(1985年/NHK)のヒロイン・かをる役。パッチリした大きな瞳と小さく上品な口元、美形すぎる顔立ちと、棒読みすぎる演技は、話題になった。あれから30数年。驚くほどに沢口靖子は、顔も体型も老けていない。それどころか、大人の女優になってから、年々若返っているという声すらある。まるでご長寿アニメのキャラクターのようだ。
そして、演技もまた、年輪を重ねた渋みなどとは無縁。人形のように美しく、乱れることない表情と発声は、「科学を愛するリケジョ(理系女子)」のキャラクターに見事にハマっている。また、時折、目を見開き、妙な「間」でハキハキと大きな声で話す、空気が読めない感じも、愛らしい。どこまで演技なのか天然なのかわからない、周りが見えなくなる集中力の高さと真面目さは、ズッコケ感を生み、事件の真相解決というシリアスなテーマにコメディ要素をもたらしている。
実に見事なキャスティングとキャラクター設定・演出だが、実はこのマリコ、最初からこういうキャラクターだったわけではない。スタート時から見ている、古くからのファンは知っていることだが、初期のマリコは「科学オタク」ではあるものの、明るく元気で、一生懸命で、ちょっとドジなヒロインだった。典型的な「朝ドラヒロイン」像を引きずっていたのだろう。