『二十五、二十一』ヒドの悲痛さ沁みる第7話 心の傷が深まるユリムと2人を見つめるイジン

 イジンは自分の手で掴みにいった審判への取材を追加報道し、今回のバッシングが若い選手たちに傷を負わせたことを記者として伝えた。その頃、一人食堂で泣いていたヒドに隣の席にいたおじちゃんたちは「さぞかし辛かっただろう」「最高にカッコよかった」「金メダルおめでとう」と声をかける。ヒドはすでに“応援される人”になっていた。以前、ヒドの母親(ソ・ジュヒ)は、ヒドを応援するのではなく“応援される人”にすると言っていたが、キャスターである母親は、その偉大さを知っていたのだ。

 一方、ユリムの抱える傷も深くなるばかりだった。貧しい家庭に育ったユリムは、申し訳なさと感謝の心で“家族のため”にここまでやってこれた。ヒドにはひねくれた態度でも、ユリムの笑顔を見れば純粋で優しい心を持っているのは一目瞭然だ。しかし、ユリムにとって厳しい現実と誰かのために頑張ることの限界が幾度となく訪れていた。見上げるほど高い階段にいるのに自ら飛び降りてしまうユリムのつらさを知ったヒドと、何を言われても絶対に諦めずに一段ずつ登ってきた階段から突き落とされたヒドの深い悲しみ、悔しさを知ったユリム。2人はもうこれ以上、お互いに知らないことはない仲になっていた。

 “成長痛”がどれだけ痛くて苦しいものかを思い知ったヒド。忘れてはならないのは、金メダリストでも可愛いスティッカーを集めてしまう19歳の高校生だということ。高校生のイジンが元カノに「愛してるよダウン」とささやいた録音テープを聞いた途端に動揺して、今まで以上に意識してしまう年頃なのだ。イジンに抱き上げられたのを思い出しては顔が熱くなり、スティッカーを胸ポケットに入れていたのは自分に会うつもりでいたのかと感違いしそうになる 。とにかくイジンの言動がいちいち気になって仕方がない。

 一方で心が近づけば近づくほど距離を感じるもどかしさもあった。責任のある仕事をして、他人から認められていた“大人のイジン”に子ども扱いされれば、今までみたいにびしょ濡れになって一緒に走る時間さえも許されなくなりそうだから。

 そんな中、ついに“インジョルミ”と“ライダー37”が顔を合わせる日を迎えた。先にヒドを見つけてしまったユリムは、一緒に来ていたイジンにバラを押しつけてその場を去ってしまう。黄色いバラを持ったイジンを見たヒドの目に迷いはなく、「あなたを手に入れる」と決めた。この先、この誤解が溶ける日が来るだろう。けれど、退くことを知らないヒドはまた新しい景色を想像できない世界を見せてくれるはず。

■配信情報
『二十五、二十一』
Netflixにて独占配信中(毎週土・日曜に新着エピソード配信)
原作・制作:チョン・ジヒョン、クォン・ドウン
出演:キム・テリ、ナム・ジュヒョク、キム・ジヨン、チェ・ヒョンウク、イ・ジュミョン
写真はtvN公式サイトより

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