新幹線でのバトルは海外映画ファンの心をつかむ? 『ブレット・トレイン』予告編を考察

 伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』(2010年、角川書店)が、ハリウッド実写版として映像化され、2022年7月に米国にて、2022年に日本で公開される。

 日本を舞台にしたアクション作品である。主演にブラッド・ピットを配し、ローランド・エメリッヒ作品の常連であるジョーイ・キング、『TENET テネット』(2020年)で知られるアーロン・テイラー=ジョンソン、そして日本からは真田広之と豪華なキャストが揃っている。

 タイトルは『ブレット・トレイン』(原題『Bullet Train』)。スピードの速い鉄道、特に日本の新幹線を指す言葉である。予告編を見ると、漢字で「弾丸列車」とあり、新幹線をフィーチャーした物語のようである。海外映画における日本のモチーフで、新幹線は非常に人気が高い。最近では『マトリックス レザレクションズ』(2021年)でも新幹線でのバトルシーンが描かれていた。

映画『マトリックス レザレクションズ』フィルムクリップ(トーキョー編)

 伊坂の原作『マリアビートル』は、東北新幹線に乗り合わせた殺し屋たちが描かれる小説だが、映画ではよりエキゾチックな日本描写が楽しめる作品に変化しているのではないかと思われる。海外映画における日本描写の定番といえば富士山と歌舞伎町のネオン、そして新幹線だ。個人的には『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013年)のような強引さ、でたらめさを期待したい。中でも、走行中の新幹線の上で主人公ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)とヤクザが死闘を繰り広げるというシーンは忘れがたい。「海外の観客が見たい日本とはこれだったのか」かと、思わず納得してしまった場面であった。おそらく「新幹線でのバトル」には、何かしら海外の映画ファンの心をつかむ要素があるのだろう。

映画「ウルヴァリン:SAMURAI」特別映像(新幹線)

関連記事