『アンチャーテッド』北米興収2週連続1位に 前評判上々の『シラノ』は思わぬハンデ背負う

『アンチャーテッド』北米興収2週連続1位に

 2022年2月25日~27日の北米興行収入ランキングは、トム・ホランド主演の『アンチャーテッド』が再び第1位となった。祝日にあたるワシントン誕生日(2月21日)の直後とあって、大手スタジオ各社はこの週末に大作や話題作を投入せず、しばし様子見の態勢だ。

 公開2週目となった『アンチャーテッド』は、週末の3日間で2325万ドルを記録。前週比-47.2%という下げ幅は想定の範囲内だろう。人気アドベンチャーゲームの実写映画化としても注目される本作は、海外市場でも好調で、すでに全世界興行収入は2億2638万ドルに到達。製作費は1億ドル前後とされているため、広報・宣伝費を鑑みても非常に優れた成績と言えるのではないか。

『シラノ』(c)2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

 2月25日に日米同時公開となった『シラノ』は第9位での初登場となった。『ゲーム・オブ・スローンズ』(2009年~2019年)のピーター・ディンクレイジ主演で、戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』に基づく同名ミュージカルを名匠ジョー・ライト監督が映画化した一作。北米797館という限定的な公開となり、3日間で1400万ドルを記録。大人向けの作品とあって、オミクロン株が懸念される中、配給側はしかるべきタイミングをうかがってきたという。

 しかし、『シラノ』が思わぬハンデを背負っての北米公開となったことは事実だ。作品の前評判とは裏腹に、アカデミー賞では衣裳デザイン部門だけのノミネートという結果だったのだ。おそらく配給側はリスクを承知で、あえてノミネーションの発表後に北米公開するという賭けに出ていたはず。その点で言えば、興行のスタートダッシュを強力に支えるだけの効果は得られなかった。

 今週初登場となった日本未公開作品は、第8位の『Studio 666(原題)』。人気ロックバンド、フー・ファイターズがアルバムのレコーディングのために邸宅を訪れ、奇妙な事件に巻き込まれていくホラー・コメディだ。フー・ファイターズのメンバーが本人役で出演。監督は数々の大作映画で撮影部を務めてきたB・J・マクドネル、脚本は『ペット・セメタリー』(2019年)のジェフ・ブーラーが務めた。Rotten Tomatoesでの評価は批評家・観客ともにもう一歩というところだが、日本公開は叶うかどうか……。

『SING/シング:ネクストステージ』(c)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 週末3日間のランキングのポイントは、話題の新作がない中、おなじみの作品群が粘りを見せたことだ。先週に引き続き第2位、チャニング・テイタム主演・監督のコメディ映画『Dog(原題)』は、公開館数を150館増やして、前週比-32%の1012万ドル。第3位『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は-22.9%、第4位『ナイル殺人事件』は-31.4%、第5位『Jackass Forever(原題)』は-39%、第6位『SING/シング:ネクストステージ』は-25.9%と、いずれも下落率は低く、根強く動員を伸ばしていることがわかる。

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