初登場3位『アンチャーテッド』 変わりつつある「ビデオゲームの映画化」の常識

「ビデオゲームの映画化」の常識に変化?

 先週末の動員ランキングは、2月19日から入場者プレゼント第4弾の配布がスタートした『劇場版 呪術廻戦 0』が、土日2日間で動員21万3000人、興収3億3600万円をあげて、ここにきて動員、興収ともに前週比30%以上のアップを果たした。2月20日までの公開からの59日間の累計動員は834万1611人、累計興収は116億2452万9420円となっている。

 先週末7位の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、2月20日までの公開からの45日間で累計動員261万3456人、累計興収39億5501万9740円を記録(現時点では40億円の大台を超えているはず)。北米をはじめとする各国で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の興収を抜いて、『アベンジャーズ/エンドゲーム』に次ぐMCU映画史上2位(中国ではまだ公開されていないこともあって世界興収ではまだMCU史上3位)の興収を記録している『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』だが、日本でも同じようにMCU映画史上2位の座につけた。しかし、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の最終興収61.3億円に肉薄するには至らず、まずまずの結果に落ち着きそうだ。「新型コロナウイルスの影響がなければ」とも思うが、それは各国の状況も同じ。もっとも、北米やヨーロッパの状況を見ていると、現在の映画興行で起こっている新たな傾向は、もはや「新型コロナウイルスの影響」を云々する段階というよりも、「新型コロナウイルス以降の恒常的な変化」として捉えた方がよさそうだ。

 そんな『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と同じソニー・ピクチャーズ配給、トム・ホランド主演の『アンチャーテッド』は、北米と同じ2月18日に同時公開されて、先週末の土日2日間で動員8万6000人、興収1億2800万円をあげて3位となった。もともとソニー・インタラクティブエンタテインメントのビデオゲームの実写映画化である同作は、いわば生粋のソニー・コンテンツ。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の上映館で予告を見た観客も200万人以上は確実にいたわけで、そのわりには物足りない出足と言わざるを得ない。ちなみに北米では祝日の2月21日(月)までに5100万ドル(約60億円)と、映画興行関係者の予想を超えるヒットを記録して初登場1位。同作に関しては、ギリギリまでマスコミ試写がおこなわれなかったという条件も日本と同じ。このギャップをどう捉えたらいいのだろう?

 正直、これまでビデオゲームの実写映画化作品というと、予算的にもスタッフ的にもB級作品のイメージがつきまとっていたが、今後数年間は映画化に関してもテレビシリーズ化に関しても大きな企画が目白押し。中でもソニーはHBOとPlayStationの人気ビデオゲーム『The Last of Us』のドラマシリーズ化を企画するなど、映画とゲーム、両方のコンテンツを手がけてきた企業の強みを全面的に活用していくとみられている。

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