『カムカム』モモケンVS虚無蔵! 黍之丞と左近の戦いさながらの殺陣で解けた因縁

『カムカムエヴリバディ』モモケンVS虚無蔵

 大部屋俳優の五十嵐(本郷奏多)と虚無蔵(松重豊)はペアで殺陣を披露することになった。ひなた(川栄李奈)は謎の振付師・サンタ(濱田岳)とともにオーディションの様子を見守る。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が第18週初日を迎え、モモケン(尾上菊之助)が虚無蔵に手合わせを申し出る。モモケンを演じる尾上と虚無蔵を演じる松重の、因縁が解けた後の表情が印象的な強く焼き付けられた回となった。

 若かりし頃のサンタが初代・桃山剣之介の遺作であり駄作と称される『妖術七変化!隠れ里の決闘』を観ていると、すすり泣く声が聞こえる。サンタは思わず声の主に「この映画、どけぇ、そねん感激しよんなら?」と問いかける。泣いていたのは団五郎(現・二代目桃山剣之介)だった。第17週で団五郎は、虚無蔵の起用について「どうしてあんな無名の大部屋を……」と父を問い詰める。そんな団子郎に初代・桃山剣之介は言った。

「お前よりよほどいい役者だからだ」

 人目も憚らず大泣きする尾上の演技を見ていると、団五郎が役者として感じた悔しさ、父との関係に悩んでいるという苦しさが伝わってくる。

 虚無蔵との手合わせの最中、モモケンはこれまでになく真剣な表情で虚無蔵の刀を受ける。黍之丞と左近の戦いさながらの殺陣だ。手合わせを終え、モモケンは父がかつて見ていた景色を味わう。尾上の凛とした佇まいの中に、父の言葉に納得したモモケンの感情がうかがえる。虚無蔵はモモケンから「あんたじゃダメなんだ」と言われて苦心するが、モモケンは言う。

「私は、私の左近を探しに来たんです」
「あんたに頼ったんじゃ、父を超えられない」

 物語冒頭、「時代劇ゃあ、一流の切られ役おっての主役じゃ」というサンタの言葉があった。虚無蔵は、初代・桃山剣之介が一目置いていた役者だ。虚無蔵を超える左近を見つけない限り、モモケンは先代を超えられない。

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