『カムカムエヴリバディ』明るいひなたと孤独だったるい 対照的な子供時代を比較する

『カムカム』るいとひなたの幼少期を比較

 ひなたは、母・るいと父・錠一郎(オダギリジョー)にたっぷりと愛されながら、すくすくと育った。家の手伝いは一切せず、時代劇をはじめとするテレビ番組に夢中で、勉強は苦手。友達にも恵まれ、漫画を読んだり、時代劇ごっこをしたりと、子供らしい子供時代を過ごしたひなた。家は裕福ではないが、英語を習いたいと言えば、るいがラジオとテキストを、錠一郎がお手製の出席カードを用意してくれるという、とても幸せな毎日で微笑ましかった。

 錠一郎は一緒にチャンバラをして遊んでくれるし、初恋が失恋に終われば、るいが肩を抱いて「いつかひなたの人生が輝く日が来る」と慰めてくれる。ひなたは、るいが手に入れることができなかった愛情に溢れた子供時代を送ることができたのだ。

 安子も老舗の和菓子屋の娘として両親や祖父母、兄に可愛がられ、何不自由ない子供時代だった。るいの小・中・高校時代は、あまりにも辛すぎるから描かれなかったのかもしれない。そんなるいが竹村夫妻に実の娘のように愛情を注がれ、錠一郎と出会って温かい家庭を築くことができて本当に良かった。

 自分が手に入れられなかったものをひなたに与えてきたるいは、ひなたが飽きっぽくて、勉強が嫌いでも、叱ることはあるが、あくまで伸び伸びと過ごさせている。ひなたは18歳になり、これからどんな道を歩めばいいのか悩み始めている。家業の回転焼きさえうまく作ることができない自分を不甲斐ないと感じているひなただが、るいも錠一郎もそんなひなたを温かく見守っている。るいとひなたの子供時代は対照的だが、るいは夫と2人の子供を持ち、幸せな人生を手に入れることができた。娘のひなたが好きなだけ自分の道を模索するのを見守ることも、きっとるいの人生を輝かせているのだろう。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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