『進撃の巨人』グリシャ役・土田大が見せた豊かな感情表現 エレンの持つ真の力が明らかに
エレンの確固たる意志によってグリシャが葛藤に揺れるシーンは、グリシャ役の土田大の豊かな感情表現がとにかく見事だった。グリシャの荒い息遣いと苦悶の叫びの丁寧な描写には思わず息を呑んでしまった。原作でもグリシャの感情の機敏は十分に伝わっていたのだが、グリシャの表情の緻密かつ大胆な作画も相まって“表現”が拡張されており、より印象的なシーンになっていたように思う。それはまさに怪演と言うほかない。アニメファンはおろか、原作ファンもグッと引き込まれたのではないだろうか。
巨人の力をもってレイス家を虐殺し、良心の呵責に悶え苦しむグリシャはジークの存在を認識する。父親の愛情を知ることなく育てられたジークが父親のぬくもりに触れ、涙を流す象徴的なシーンだ。ジークが求めていたのは、多くの人にとって当たり前のようにとなりにある、親からの愛情だったのかもしれない。そしてグリシャもまたジークへの贖罪を果たす機会を欲していたのだ。2人の抱擁はとても美しく、それでいて儚さをも感じさせた。
第79話で筆者が強く印象に残ったのは、グリシャの親心の一端を見られたことだ。エレンやジーク、もちろんレイス家に対してもグリシャは親心を忘れてはいなかった。むしろ、ずっと彼の心の中には子どもへの愛情が鎮座していた。自らの意志とは反して、エレンの未来を進み続けたグリシャの気持ちを慮るといたたまれない。
この先の行方を掌握しているのはエレンただ1人。エレンは未来に何を見ているのだろうか?
■放送・配信情報
TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season Part 2』
NHK総合にて、毎週日曜24:05〜放送
キャスト:梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、三上枝織、谷山紀章、細谷佳正、朴ロ美、神谷浩史、子安武人、花江夏樹、佐倉綾音、沼倉愛美、増田俊樹、松風雅也
原作:諫山創(別冊少年マガジン/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸 友洋
総作画監督:新沼大祐 / 秋田学
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史、古俣太一
色彩設計:大西慈
美術監督:根本邦明
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:奥納基、池田昴
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:KOHTA YAMAMOTO、澤野弘之
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:川越 恒
制作:MAPPA
(c)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式Twitter:@anime_shingeki