木村多江×安藤玉恵の阿佐ヶ谷姉妹も生き続ける “虚構性”が生かされた『のほほん』

『のほほん』最終回を終えて

 よるドラ『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(NHK総合)が12月20日に最終回を迎えた。

 最終回となる第7回「ふふふ、人生って、不思議よねぇ」では、2人の引越し先がついに見つかる。それは、姉妹が居住する安澤ハイム。隣人の高橋(中川大輔)が彼女と同棲することが決まり彼がアパートを出て行くことで、エリコ(木村多江)とミホ(安藤玉恵)がそれぞれ1室ずつ隣り合わせで暮らすことができるようになったのだ。少し冷めたことを言ってしまうが、実際の阿佐ヶ谷姉妹が別々に暮らしていることは2人が出演した『マツコ会議』(日本テレビ系)でも語られていたことであり、多くの人がすでに知っている周知の事実でもあった。大事なのはその結末ではなく、そこに至るまでの過程だ。

 2人は様々な物件を巡る中で、阿佐ヶ谷という自分たちが暮らしていた街を俯瞰して見ることになる。いつも自分たちの活躍を応援してくれていたおかみ(いしのようこ)と美味しいニラ玉定食を作ってくれた大将(宇崎竜童)の見つめる中華料理店「朝來」、なにか大事な話がある時は店に集まっていたマスター(山脇辰哉)のいる喫茶店「いとし」、そしていつも自分たちの幸せを願ってくれていた大家さん(研ナオコ)が暮らす安澤ハイム。「ここだけが私たちにとっての阿佐ヶ谷なのかもね……」──エリコはミホにそうつぶやくのだった。

 2人が再確認した自分たちの居場所。別々に暮らしていると言っても、要は彼女たちが探していた2DKの物件のようなもので、寝起きの悪いエリコをミホが叩き起こしに行くし、エリコはミホの部屋で朝食を作り同じテーブルを囲む。ミホのエリコ過多が解消できる上に住み慣れた部屋はそのままという、彼女たちにとってはベストの形だ。そして、芸人として少し裕福な暮らしができるようになったとしても、その生活ぶりはやっぱり変わらない。エリコはウナギのたれでうな丼風のご飯を食べるのだとご機嫌。大家さんがいつもくれる豆苗を今も大事に窓辺で育てているのがその象徴だ。ミホが明かした「このアパートを買い取って、親しい人たちと一つ屋根の下で暮らせたらいいなぁと思って」という夢は、2人がたどり着いた幸せの形の延長線上にある暮らしだ。

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