『地獄が呼んでいる』で光った4人の名演と独自の世界観 前後半で生まれたギャップとは

衝撃が薄まる後半。だが、ラストでまた新たな謎が……

 後半になると時代が変わり、巨大になった教団が人々を支配する社会に変わる。

 最大のドラマは、テレビ局プロデューサーであるペ・ヨンジェ(パク・ジョンミン)の妻の赤ちゃんに「告知」がもたらされること。それは教団の「裁かれるのは罪人のみ」という教義に反し、事実をもみ消そうとする教団サイドと、夫婦を守ろうとする秘密グループとの対決が山場になる。

 役者たちも熱演だし、ムードもさほど変わらないものの、不条理な運命に苦しみ、何が悪かを問いかける前半のジンス議長に比べると、後半の悪役といえる教団の役員たちは悩みのスケールが小さい。当初は恐ろしかった魔物たちも、殺人日程厳守の法則を教団に利用され、処刑番組の出演者のようにも見えてくるのだ。

 ただサンホ監督の作品でおなじみの「不条理を乗り越える人間の力」は本作でも健在。なにより後半で見逃せないのが、最後の「えええっ!」となるあのシーン!

 最初はデヴィッド・リンチ好きな監督らしい感性のお遊びかと思ったが、すでにシーズン2の布石として考えられていたという。提示された新たな「謎」は、視聴者に新シーズンへの期待を抱かせるに十分。やはり続きが気になるドラマシリーズの1本になりそうだ。

■配信情報
『地獄が呼んでいる』
Netflixにて独占配信中
監督:ヨン・サンホ
出演:ユ・アイン、キム・ヒョンジュ、パク・ジョンミン、ウォン・ジナ、ヤン・イクチュン

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