『日本沈没』小栗旬×松山ケンイチの幸福な邂逅 17年ぶりの共演に至るこれまでの歩み
第2章に入り、ついに日本の重大な機密が白日の下にさらされた『日本沈没-希望のひと-』(TBS系)。SNSでは様々な賛否両論が飛び交い、ますますヒートアップしていく本作において総じて高い評価を得ているのが、小栗旬と松山ケンイチの名演&イケメン力だ。それぞれ38歳に36歳と、年齢も近い2人は本作でともに日本国民のため奔走する官僚役を演じ、見事なコンビネーションを発揮している。
そこで今回は、2004年放送のスペシャルドラマ『リターンマッチ ~敗者復活戦~』(東海テレビ)以来、17年ぶりの共演を果たした二大人気俳優のこれまでを振り返ってみたい。
小栗は1982年生まれ、東京都出身。子役としてキャリアをスタートさせ、1998年に反町隆史主演の『GTO』(フジテレビ系)で連続ドラマ初レギュラー、ファミリーコメディ『しあわせ家族計画』(2000年)で映画デビューを飾る。『花より男子』シリーズ(2005年~/TBS系)のクールなセレブ男子である花沢類役が女性たちのハートを鷲づかみにしたが、2007年公開の三池崇史監督作『クローズZERO』(2007年)で芹沢(山田孝之)率いる鈴蘭男子高校に殴り込みをかける転入生の滝谷源治をワイルドに演じ、恋愛ドラマからアクションまでいける万能ぶりを見せつけた。また、舞台では蜷川幸雄作品の常連俳優としても知られ、今日に至るまでテレビ、映画、舞台、CMと多方面で活躍中だ。
そして近年の注目作は、文豪・太宰治に扮した蜷川実花監督作『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019年)。小栗は女性たちを惹きつけずにはおけない苦悩の作家を妖しい魅力で体現。かと思えば、日本を震撼させた実在の未解決事件をモチーフにした『罪の声』(2020年)で地道に真実を追い求める新聞記者・阿久津英二を骨太に好演。そんな小栗が『日本沈没-希望のひと-』で扮する環境省の官僚である天海啓示は、野心家でありながらも日本の未来を憂いて涙を流す純粋さも持ち合わせる人物。その多面的な人物にリアリティという血肉を与えているのは、これまで様々なシチュエーションの中で幅広い役柄を演じ分けてきた小栗の類まれなき人物造形力の賜物だろう。